「アートアクアリウム」開催中! 金魚が妖しく美しいのは、人が罪ぶかいから? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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「アートアクアリウム」開催中! 金魚が妖しく美しいのは、人が罪ぶかいから?

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ほんとうは何匹でしょう?

ほんとうは何匹でしょう?

人の手の温かさで魚がヤケドすることも

人の手の温かさで魚がヤケドすることも

水の中をゆらゆら泳ぐ金魚を見ていると、暑い日もホッと癒されますね。お祭りの金魚すくいや学校の飼育当番で、子供の頃から触れ合ってきた親しい『金魚』。もともと自然界にいたものではなく、人間が観賞用に作りあげた「芸術品」です。はかなげなその涼やかさ、日本の夏には欠かせません。今年も『アートアクアリウム』など各地のイベントで、金魚たちは体をはってがんばっています!

金魚はとくべつ。子どもの思いに寄り添ってくれるから

『金魚』  北原白秋
母さん、母さん、どこへ行た。
紅い金魚と遊びませう。
母さん、帰らぬ、さびしいな。
金魚を一匹突き殺す。
・・・
多くの方が、子どもの頃金魚を飼った経験をおもちではないでしょうか。
水の中にいてさわれないはずなのに感触がありありと思い出せるような、子どもの手の中でも命を握っていられるような、心の裏表を黙って一身に引き受けてくれるような。そんな特別な「近さ」が、金魚にはありました。夢中になったり愛したり飽きたり心配したり死なせたり。金魚に感情を育てられた昭和っ子は少なくないと思われます。
今から1600年ほど前、中国の長江流域で一匹の黄赤色をしたフナがみつかりました。「神の使い」として宮廷に献上され、その子孫は『金魚』と呼ばれて品種改良で華やかに進化していきます。日本に伝わったのは室町時代。上流階級だけが楽しむ貴重品でしたが、養殖が盛んになった江戸後期には庶民の間で大ブームに! 浮世絵にも描かれ、金魚の養殖は武士の内職にもなっていたそうです。日本人好みの地ビールならぬ『地金魚』も登場。そして夏の風物詩「金魚すくい」では、芸術品の外観としてはハネられてしまった金魚たちが(殺処分からすくわれて)大活躍しています。

美しさを愛でたい・・・その思いがつくる「不自然」とのせめぎ合い

今年で5周年を迎える大人気の夏イベント、『日本橋アートアクアリウム2015〜江戸・金魚の涼〜&ナイトアクアリウム』が開催中です(詳しくはリンク先参照)。
趣向をこらした水槽に、色とりどりの美しい金魚たち! 赤いフナ形の『もみじ和金』、真っ黒な『出目金』、ひらひらドレスをまとった『蝶尾』、頭に花飾りをつけた『ランチュウ』、小さい玉形の『ピンポンパール』、「こぶとりじいさん」のような袋をぶら下げた『水泡眼』・・・等々、金魚の美の多様さ・奥深さにワクワクしてしまいます。
ただ、変幻する濃く妖しいライトで元々の色はわかりにくく、水流にグルグルと翻弄されている金魚も。どうやら魚の自然な姿を観察する場ではなさそうです。会場は暗く、クラブを思わせるBGMと派手めな照明は「癒し」というよりは「興奮」を誘う演出。展示パネルには「金魚を生きたアートとして捉え、大きな舞台を用意して『演者』として輝く場を与える」という説明が。ライトを浴び、プリズムやガラス玉・ふすま絵の模様として動く金魚たちは、「日常」不要のタレントさんだったのです!
江戸の人々は、風鈴職人が作ったガラス玉に金魚を入れて、軒先に吊るして愛でたといいます。透き通った水の中で泳ぐ姿は、夏の暑さをしばし忘れさせてくれたことでしょう。「金魚はひと夏だけ楽しむもの」と、わりきってもいたようです。生きものでありながら、昔からペットと調度品の間に位置する不思議な存在だったのですね。

愛しているからふれあいたい・・・「どんぶり金魚」をご存知ですか?

飼っている金魚にパクパクおねだりされると、ついたくさん食べさせたくなりますね。ところが、金魚はエサを咽頭歯という組織ですりつぶしているため次々に食べることができません。エサはハラハラとこぼれ落ちていきます。
じつは金魚が死んでしまう主な原因は、食べ残しによる水質悪化なのです。逆に数日の絶食で死ぬようなことはないのだとか・・・「ひもじい思いをさせないように」旅行にでかける前にエサを多めにあげていたのは、金魚としては「ありがた迷惑」だったわけですね! 数分で食べきれる量を少しずつ、が鉄則だそうです。
『どんぶり金魚』をご存知でしょうか。エアポンプなどを一切使わず、頻繁に水換えをしながら「どんぶり」の中で金魚を飼うという、話題の飼育方法です。
金魚は、水中の酸素をエラを使って取り込んでいます。水温が高くなるほど水中の酸素は少なくなり、水が汚れると、分解するためのバクテリアが酸素を消費してしまいます。適度な水温と水質は、金魚にとって生命線なのですね。「どんぶりの少ない水量では酸欠になるのでは」「狭さで金魚が育たず短命になるのでは」などと、心配する声も多々あるようです。
にもかかわらず、多くの人がとりこになっているのはなぜでしょう。指でエサをひと粒ずつ口に入れてやり、テーブル→デスクと家中を共に移動し、じかにアイコンタクトしつつ頭をなでる・・・と、水槽では考えられない「ディープなふれあい」がもうたまらん、という状態らしいです。なつかれる喜び。日本人には「金魚ふれあい欲」があるのかもしれません。

金魚は、古来から「金運を上昇させる」縁起物!

アクアリウムの舞台に立つストレスや、どんぶりの中での短めの生涯。命を扱う「神」の領域に人が関われば、「罪」の危険はつねにありそうです。金魚と仲良くなる入り口の数々と、それぞれの愛しかた。うちに来てくれた金魚が幸せだといいですね。
金魚は古来から「金運を上昇させる」縁起物とされ、戦時中には「金魚を飼う家に爆弾は落ちない」とまで言われたラッキーアイテムでした。着物にグッズに、まんまるお腹の金魚モチーフを身につけて、週末のおでかけを粋に太っ腹に楽しんでみてはいかがでしょう。
<参考>
『どんぶり金魚の楽しみ方』岡本信明・川田洋之助(池田書店)


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