世界中の映画界のセレブが集う映画祭。とりわけ、ファッションに注目が集まるカンヌ国際映画祭、映画とは直接関係のない世界中のトップモデル達も集結し華やかさもピカイチですね。何故トップモデル達が集まるのか?何故リゾート地カンヌで開かれるのか?もちろんファッション大国・フランスと関係がありそうですね。そして、ヨーロッパ三大国際映画祭とアカデミー賞の違いは?等々これから夏のバカンスシーズン真っ盛りということで、世界有数のリゾート地カンヌで開かれる映画祭にまつわるエトセトラ…集めてみました。

海外セレブも訪れる極上リゾート
海外セレブも訪れる極上リゾート

ヴェネツィア国際映画祭に対抗。フランスならではの戦略がありました。

カンヌ国際映画祭は当時のフランス国民教育美術省大臣ジャン・ゼイ氏がヴェネツィア国際映画祭に対抗すべく創立されました。
1930年代後半はナチスによるファシズムの暗雲がヨーロッパにたちこめていました。ヴェネツィア国際映画祭も当時ファシズムの影響を色濃く受けていたといいます。そこで、アメリカ人やイギリス人達がフランスでの開催を望むようになっていきました。
当初1939年に開催が予定されていましたがやはり第二次世界大戦の影響でしょうか、結局第一回目の開催は戦後の1946年9月となりました。
カンヌという、明るい太陽と海に恵まれた地が選ばれたのも、戦争という暗い過去を人々が早く忘れたい…という気持ちからではないでしょうか。

ミラノ・パリ・NYコレクション並みの影響力・カンヌ映画祭。

数ある映画祭の中でも一際華やかな印象のカンヌ映画祭。
そこにはファッション大国・フランス開催ならではの理由がありました。カンヌ映画祭のオフィシャルスポンサーには世界的な化粧品メーカーや高級宝飾ブランドが名を連ねています。当然、各メーカーのアンバサダーを務める旬なトップモデル達もこぞって集合。映画とは直接関係ありませんが映画祭をより華やかにしてくれる彼女達は世界中から集まるマスコミ関係者の注目の的。映画祭主催者側・スポンサー側、どちらにとっても欠かせない存在のようです。
映画祭期間中は、ファッションショー(チャリティ)まで開かれるそう。また、欧米各国の有名ブランド主催のパーティも連夜開催されます。レッドカーペットだけでなくファッションショーのランウェイやパーティ会場でモデルや女優達が着たドレスのスナップやブランド名は瞬時に世界中に配信されます。コレクション並みの影響力があるのも納得です。加えてハリウッド俳優とトップモデルのカップルが多いのも納得(⁉︎)ですね。カンヌの様々なイベント会場で恋が芽生えているのですね。
はぁ〜、私たち庶民には別世界、まるでカンヌ映画祭そのものが映画のワンシーンのようです。

きらびやかな国際映画祭。
きらびやかな国際映画祭。

映画祭により全く違う審査方法。

よく、アメリカのアカデミー賞よりヨーロッパの三大映画祭(カンヌ・ヴェネツィア・ベルリン)の方が文芸・芸術性の高い作品が選ばれ格上だ、という意見もありますが、筆者は個人的には審査方法・審査員選出方法が異なるだけで、どちらが格上ということはないと思います。
映画好きの方ならそれぞれの映画祭で好まれるタイプがまるで違うので各々楽しんでらっしゃる方が多いのではないでしょうか。
三大映画祭は毎年審査員達が変わり審査委員長に選ばれた監督の好みが大いに影響されると言われています。アカデミー賞はアカデミー会員(ほぼ毎年変わらず監督組合や俳優組合など映画関係者)が選ぶ為、組合員仲間で人気のある作品や人物が選ばれる傾向が。どの映画賞も興行収入や一般の観客たちの声があまり反映されていないのは共通なようです⁉︎
2013年・第66回カンヌ映画祭で審査委員賞を受賞した是枝裕和監督の「そして父になる」。審査委員長を務めたスティーブン・スピルバーグは崩壊した家族をテーマにした作品が多いと言われています。特に自身の父との確執が作品に影響しているスピルバーグだからこそ選ばれた作品だったのではないでしょうか。毎年変わる審査委員長。審査委員長の映画監督に注目して映画祭を楽しむのも良いですね。
カンヌ映画祭の最高賞といえばパルムドール。今年の受賞は、ジャック・オディアール監督の「ディーパン」。審査員賞はヨルゴス・ランティモス監督の「ザ ロブスター」。今年審査委員長を務めたのは皮肉を効かせた作風で有名なアメリカのコーエン兄弟。日本公開が、楽しみですね。

日本の歴代受賞作品&受賞者は?

残念ながら2015・第68回は日本関連受賞はありませんでした。
以下、過去の主な受賞作品と受賞者。
パルムドール
1954年/「地獄門」衣笠貞之助監督、1980年/「影武者」黒沢明監督
1983年/「楢山節考」・1997年/「うなぎ」共に今村昌平監督
審査員特別グランプリ
1963年/「切腹」小林正樹監督、1964年/「砂の女」勅使河原宏監督、1965年/「怪談」小林正樹監督
1990年/「死の棘」小栗康平監督 、2007年/「殯の森」 河瀬直美監督
監督賞
1978年/「愛の亡霊」 大島渚監督
男優賞
2007年/「誰も知らない」柳楽優弥
審査員賞
1987年/「親鸞 白い道、 2013年/「そして父になる」
ある視点部門 審査員賞
2008年/「トウキョウソナタ」 黒沢清監督
過去2回パルムドールを受賞した監督は過去全部で7人しかいないそう。その中の一人が今村昌平監督です。
なんとなくカンヌの好む映画の傾向がありそうですね。小林正樹監督も2回受賞しています。
今年も5月に世界中に配信されたカンヌのゴージャスな風景。きっとこれを見て、この夏のバカンスはカンヌ!と決めた世界中のセレブがたくさんいたことでしょう☆
避暑地としても人気のカンヌ。いつか訪れてみたいものですね。