なかなかお天気がすっきりしない毎日ですが、そろそろ梅雨開けが待ち遠しいころ。東京浅草の浅草寺では、夏の訪れを告げる「ほおずき市」が、7月9日・10日に開催されています。
朝から晩まで多くの人出で賑わう両日は、特別な「功徳日(くどくび)」。この日に浅草寺に詣でると、なんと4万6000日分のご利益があるということです。ほおずきや風鈴の露店で賑わう境内へ、江戸の夏の風情を感じに出掛けてみませんか。

浅草寺、賑わってます!
浅草寺、賑わってます!

古くから江戸っ子に愛される夏の風物詩「ほおずき市」へ、東京台東区・浅草「浅草寺」へ

飛鳥時代(628年)創建。都内最古の寺院と言われる「浅草寺(せんそうじ)」は、地元の人々はもとより、世界中から観光客が訪れる下町の人気スポットです。通年参拝者で賑わう浅草寺がいっそう華やぐ「ほおずき市」が、今年も本日7月9日から10日にかけ開かれます。
鮮やかな橙色のほおずきを売る露店が、境内に約120軒も連なる両日は、古き良き江戸の夏の風情が色濃く漂うとき。
頭に鉢巻きをした売り手の威勢のいい掛け声、ちりんちりんと鳴る風鈴の涼しげな音色、うちわや扇子片手に浴衣姿でそぞろ歩く人々で賑わい、懐かしい下町の情景を見せてくれます。

夏が来た!って感じの色合いですね
夏が来た!って感じの色合いですね

7月10日は「四万六千日(しまんろくせんにち)」。約126年分のご利益や功徳が!

さて、この「ほおずき市」ですが、「四万六千日」の縁日(えんにち)にちなんで開かれているということはご存じでしょうか。
そもそも浅草寺のご本尊・観音さまの縁日は「毎月18日」。室町時代以降に月に一度の「功徳日(くどくび)」が加えられ、その中でも7月10日の功徳は1000日分と最も多く、「千日詣」と呼ばれていたそうです。その「千日詣」が浅草寺では享保年間(1716~36年)頃から「四万六千日」へと変わり、なんとそのご利益は4万6000日分(約126年分)に相当するといわれるようになったのです。
一日で一生分以上もの功徳があるなんて、ぜひ一度は遠方からでも詣でておきたいところですね。ちなみになぜこの数になったのかについてですが、「米一升分の米粒の数が4万6000粒にあたり、一升と一生をかけた」など諸説あるとのことですが、詳しい由来はわかっていないそうです。
この縁起のいい日に一番乗りで参拝したいという人々の思いから、前日の9日より人出が多かったため、今では7月9・10日の両日が「四万六千日」の縁日に。今年も多大なご利益を求めて、浅草寺の本堂には大勢の人々が集い列を成していることでしょう。

涼を呼ぶ風鈴も売ってます
涼を呼ぶ風鈴も売ってます

薬効でも古くから馴染み深い観賞用ほおずき。美容にもいい食用ほおずきはフルーツの味わい♪

古くは、源頼朝が奥州討伐の帰りに浅草で軍勢を休ませ、日射病で倒れた兵士たちに、橙色の実を食べさせ元気づけたという「ほおずき」。「ほおずきを水で鵜呑みにすると、大人は癪(しゃく)を切り、子どもは虫の気を去る」とも言われ、平安時代の頃から薬用として、鎮咳、解熱、利尿作用、咳、発熱、のどの痛み、むくみなどに効き目があるとされてきました。
そんな生薬として利用される“観賞用ほおずき”に対して、美容にも良くおいしい“食用ほおずき”もあります。こちらは、中南米が原産。メキシコでは、同じく中南米生まれのトマトよりもずっと歴史が古い食べ物なのだそう。まるで果物のように甘酸っぱくビタミン豊富な食用ほうずきは、健康にも美容にもよいとのこと。夏から秋が旬ですから、見かけたらぜひ食べてみてくださいね。

食用ほおずきもこれからが旬
食用ほおずきもこれからが旬

漢字では「鬼灯」と書かれるほおずき。その由来は、火が灯された提灯(ちょうちん)に形がよく似ていることからです。中国のランタンのイメージからか、英名も「Chinese lantern plant」。なるほど、太陽の光のように明るい色合いのほおずきには、周囲をぽっと照らすような温もりある風情がありますね。
市で買い求めた鉢植えのほおずきですが、水さえたっぷり与えれば、真夏でも栽培は比較的ラク。昔懐かしい子供のおもちゃ(朱い実から中身をだして、口にくわえ音を鳴らす遊び)やお盆の飾りにもなるなど、梅雨明け後の真夏の暮らしに彩りを添えてくれそうです。
※参考文献
現代こよみ読み解き事典(柏書房)
※参考&引用
浅草寺サイト
http://www.senso-ji.jp/annual_event/shimanrokusennich.html

ほおずき市へはぜひ浴衣姿で…
ほおずき市へはぜひ浴衣姿で…