冬の瓜(うり)と書くのに、なぜか夏が旬の「冬瓜(とうがん)」。
家庭料理ではあまりなじみのない野菜ですが、実は、暑い季節の健康チャージに役立つスグレモノなんです。
口当たりの優しいサッパリとした食感は、夏バテで食欲がないときにもピッタリ。
暑さが増すこれからの時期、ぜひ食卓に取り入れたい冬瓜。
夏の身体に効く健康パワーと、調理のポイント&レパートリーをご紹介しましょう。

見た目も大きさもインパクトのある夏野菜「冬瓜」
見た目も大きさもインパクトのある夏野菜「冬瓜」

夏が旬なのに「冬の瓜」?

熱帯のジャワ島が原産の冬瓜は、日本でも古くから栽培されているウリ科の食用植物です。深緑色の果実はラグビーボールのような球形をしており、大きいものだと10Kg近くになるものもあります。
胡瓜(キュウリ)、苦瓜(ニガウリ/ゴーヤ)、西瓜(スイカ)、南瓜(カボチャ)など、「瓜」と名の付く夏野菜と同じく、冬瓜も7~8月頃が旬となります。
夏が旬なのに「冬」と付く名前の由来は、「野菜の中でも保存性が高く、夏に収穫した果実が冬まで貯蔵できる」という意味から来ているとか。
実際にはそこまで日持ちはしませんが、丸ごとのまま風通しのいい冷暗所に置いておけば、2~3ヵ月は保存がききます。ただし、カットしたものは傷みやすいので、中心のワタと種を取り除いてラップに包み、冷蔵庫か冷凍庫で保存して早めに使い切りましょう。

低カロリーでヘルシーな夏野菜

冬瓜は約95%が水分で、とても低カロリー(100gあたり16Kcal)な野菜です。
栄養成分としてはカリウムを多く含んでいるのが特徴(100gあたり200mg)。
カリウムは体内の余分なナトリウム(塩分)を排出して、血圧を正常に保つ働きがあります。
また、利尿作用や体温を下げる働きもあるので、水分の採りすぎによるむくみを緩和し、暑さでほてった身体をクールダウンしてくれます。
その他、皮膚の健康維持に欠かせないビタミンCも豊富に含まれており(100gあたり40mg)、日焼けによるお肌のダメージケアにも役立ちます。
※栄養成分量/五訂日本食品標準成分表より

どんな味にもアレンジ自在な冬瓜メニュー

冬瓜は煮物・あんかけ・蒸し物・スープなどにはもちろん、炒め物やステーキ、カレーやシチューの具材に使っても美味しくいただけます。基本的には水から下ゆでして使いますが、薄く切って(ビーラーなどでスライスしてもOK)塩もみすれば、爽やかな食感のサラダ・お漬物・酢の物がパバッと完成。お食事メニュー以外にも、甘いシロップやワインなどで煮込んだコンポートは、夏のひんやりスイーツにうってつけです。
和・洋・中華・エスニック・デザートと、調理法&味付け次第でレパートリーが広がる冬瓜メニュー。美味しく食べて、暑い夏の元気をチャージしてくださいね。
【冬瓜の下処理・調理のポイント】
●緑の皮の部分は硬くて苦みが強いので、皮を厚めにむくのがポイント。中のワタと種もアクが強いので、スプーンなどでしっかり取り除く。
●煮崩れしやすいので、煮込み料理には面取りをして使う。
●下茹でや煮込む際には、茹ですぎと火加減(弱火で)に注意。
●冬瓜自体は味がほとんどないため、ダシをしっかりと効かせたり、旨みのある食材(肉類・魚介類・きのこ類・ハムなど)と組み合わせるのがオススメ。

冬瓜料理の定番「そぼろあんかけ」は、食欲がない時にもスルッと食べられる優しい味わい
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