梅雨の時期に咲く花、と言えば「あじさい」。日本では昔から多くの種類が栽培され、彩り豊かに咲いて私たちの目を楽しませてくれています。
私たち人間にとってはちょっと歓迎されにくい雨ですが、あじさいは水を得た魚のごとく、雨の日にこそ美しく輝いて見えます。
梅雨の季節は低く垂れこめた雲とじめじめした湿気で、なんとなく憂鬱になりがち。
でも、考え方をちょっと変えて、雨音のオーケストラとともに、身近な花、あじさいを愛でてみませんか?

動物もあじさいが大好き
動物もあじさいが大好き

あじさいは日本が原産地

あじさいは現在、日本には約10数種、アジアや北アメリカで約40種が存在する低木です。
もともと、あじさいは日本の植物でしたが、医者で植物学者のシーボルトが海外に紹介し、海の向こうで品種改良され、日本に逆輸入されるようになりました。
日本固有のあじさいは「ガクアジサイ」で、真ん中は蕾のような粒状(実はこれが花)で、まわりに花びら(本当はガクの部分)が開いていて、比較的平べったい形です。
一般的に見られるものは「セイヨウアジサイ」で、こんもりと丸くなっています。
栽培される水や土、気候によってあじさいは華麗に変身を遂げていったのです。

日本の品種「ガクアジサイ」と、逆輸入された品種「セイヨウアジサイ」
日本の品種「ガクアジサイ」と、逆輸入された品種「セイヨウアジサイ」

色が変わる原因は土だけじゃない

あじさいは徐々に色を変えるため、「七変化」という別名があります。色が変わる原因は主に土の成分ですが、細かく見ていくと面白いことがわかります。
咲きはじめは、ガクの中に葉緑素があるため薄い緑色で、開花が進むに従って色を変えていきます。酸性の土では青色に、アルカリ性では赤色を帯びていくのですが、日本では青系のあじさいを多く見かけます。これは日本の土壌が主に酸性のためです。ピンク色のあじさいはほとんどが逆輸入された品種と考えられます。
最盛期を過ぎると赤みを増していきます。これは土の成分とは関係なく、細胞の中に二酸化炭素がたまることで色が褪せる、つまり老化現象です。
老化ですら美しい変化に見せるとは、あじさいらしいですね。
あじさいを育てるのは比較的簡単で、挿し木で増やすことができます。
半日陰の場所でよく育ち、耐寒性もあります。水を好むので、鉢植えの場合はたっぷり水をあげましょう。地植えにした場合は、水やりをしなくても育ちますが、真夏など乾燥している時には注意が必要です。
花が咲き終わったら、花を2節ぐらい切り戻してください。7月中に剪定することで、また来年もきれいな花を咲かせてくれますよ。

美しいあじさいを堪能できる名所

あじさいは手軽に鑑賞できるのも魅力です。日本ではお寺・神社・庭園など名所がたくさん!
例えば、神奈川県・鎌倉の長谷寺では、約2500株、40種類以上のあじさいが散策路に咲き乱れた景色を見ることができます。また、北鎌倉の明月院はお寺全域があじさいで埋まり「あじさい寺」の別名があるほど。
東京都あきる野市の東京サマーランドには、約1万株、60種が咲くあじさい園があります。中でも、純白のあじさい「アナベル」が山の斜面を埋め尽くすさまは「アナベルの雪山」と言われ、見事な景観を呈しているとか。
あじさいの開花時期は6月初旬から7月中旬ですが、種類や気候によって見頃が異なります。開花時期を確認してからお出かけください。

あじさいの花言葉&毒とは?

あじさいには多くの花言葉があります。よく耳にするのは「移り気」。この場合、恋人に贈ってはいけない花、ということになります。
他にも「冷淡」「高慢」とネガテブなイメージの花言葉が多いようですが、色によっても違い、「辛抱強い愛情」「元気な女性」というものも。
また、色を変えない白のあじさいの花言葉は「寛容」ですし、花がたくさん集まっているということから「団結」などもあり、最近では母の日や父の日のプレゼントにも選ばれているそうです。
そして、ぜひ知っておいてほしいのは、あじさいには毒があるということ。
葉を食べて食中毒になった人がいるのですが、実際のところ何が毒なのかは判明していません。猛毒ではないため、あまり注視されていないようですが、くれぐれもあじさいの葉や花を食べたりしないように。特にお子さんには注意してくださいね。
参考URL/リクナビ進学ジャーナル、厚生労働省HP(ともにリンク先参照)