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不思議な漢字と日本語──異体字の謎

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異体字のオンパレード「百福図」

異体字のオンパレード「百福図」

友達の〈渡辺〉さんに手紙を書いたら、
「私の苗字は〈渡邉〉なんですが」
「うちは〈渡邊〉です」……などと抗議された経験はありませんか。
漢字のこうした異なりを異体字といって、なかなか厄介なものです。
その世界をちょっとのぞいてみましょう。

「異体字」とは?

「異体字」とは、発音も意味もまったく同じでありながら漢字の形(字形)が異なる漢字を指します。例えば「吉」の「士」が「土」のように点画の表現が異なっているもの、「海」と「海」、「高」と「はしご高」のような字形の細部の異なり、「秋」と「龝」のようにまったく異なった漢字に見えるもの、「峰」と「峯」のように構成要素の組み合わせ方が異なっているものなどがあります。冒頭に挙げた「辺」には50以上、あるいは100以上の異体字があるとも言われます。

なぜ異体字は生まれる?

実は、意味も発音も同じなのに異なった字形の漢字は、紀元前約1600年前に中国で誕生した、漢字の原型である「甲骨文字」からあります。
このことはなにを示しているかというと、異体字は主に手書きの文字だからこそ生まれるということです。手書きであれば、点画が短いとか長いとか、おさえるとか払うとか表現が人によって変わってしまうことは当然ですね。それまで使われていた文字があるときにちょっと異なったふうに書かれて、それが誤字となって消えてしまうのではなく、多くの人がそう書くようになってある程度定着してしまう…しかも前の書き方も生きている…。これが異体字の源泉です。楷書、行書などの漢字のスタイルである「書体」も関係しています。

人名や地名に多い異体字

異体字は人名や地名に多いですね。
地名については、言ってみれば「なまり」のようなものだといってもいいかもしれません。人名であれば、漢字の字形の差が自分の個性のようなものと感じられて「渡邊」と書かれないと、自分ではないような気がする、といったことも起こってきます。
文字は社会のなかで共有されているものですから、自分勝手に書いていいというものではありません。ただ異体字だからといって、「間違っている文字」というわけでもないのです。正字・旧字・本字・俗字…といった区別は、漢字の使われ方を標準化するためにある社会・時代で便宜的に決められた「正しさ」の基準ですから、時代によって変わることもあります。日本でも当用漢字、常用漢字、人名漢字などとしょっちゅう漢字の枠組みが変化していることはご存知でしょう。
現在ではコンピューターや携帯電話などで表示できる漢字の数が飛躍的に増えたことで、この枠組がまた変化しています。時代の変化とともに、そして技術との関係で漢字はどんどん変化するものなのです。


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