大葉(青ジソ)、エゴマ……。風味豊かなシソ科の野菜と日本人の、意外な歴史って? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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大葉(青ジソ)、エゴマ……。風味豊かなシソ科の野菜と日本人の、意外な歴史って?

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みずみずしさと独特の香りが魅力の青ジソ。穂ジソやシソの実も美味しいですよね

みずみずしさと独特の香りが魅力の青ジソ。穂ジソやシソの実も美味しいですよね

日差しが強くなり、半袖でも過ごせる日が多くなってくるこの季節。
冷水でしめたうどんやそうめん、それに薬味をたっぷり添えたひややっこなど、爽やかな味覚が恋しくなってきますよね。これらの料理の薬味に欠かせないのが、大葉(青ジソ)。ハウスものが年じゅう出まわっていますが、初夏から夏にかけてが本来の旬にあたります。
薬味にしたり、天ぷらにしたりと、普段なにげなく口にしている大葉ですが、身近だけど意外と知られていない、その歴史にスポットを当ててみました。

シソは、ヒマラヤからやってきた?

シソの原産地はアジア南部。ヒマラヤ山脈に近い場所に自生していたものが、やがてアジア各地に広まりました。日本へ伝来した時期はハッキリしていませんが、縄文時代の遺跡からシソの種が出土しているということですから、かなり古くから食べられていたのは確かです。
シソは漢字で「紫蘇」と書きますが、これは中国の後漢末期(三国志の頃)に活躍したといわれる名医・華佗(かだ)の故事に由来しています。
ある時、食中毒で倒れた患者を診察した華佗先生。とある薬草を煎じた紫色の汁を飲ませると、患者はたちまち「蘇」りました。それが評判を呼び、煎じた薬草が「紫蘇」と呼ばれるようになった、といわれています。
とはいえ、この故事よりも以前から「蘇」「蘇草」などと呼ばれていたそうですから、「病人を元気にする」薬草として、いにしえから利用されていたことが推測できます。

赤ジソ、青ジソ、どちらが本当のシソ?

華佗の故事からもわかるように、本来シソといえば「赤ジソ」でした。
緑色の茎や葉っぱを持つ青ジソ(大葉)は、実は赤ジソの変種。シソ独特の香りは青ジソのほうが強いため、とくに薬味として重宝されるようになったのです。ちなみに「大葉」とは、野菜として青ジソを呼ぶ際の名前にあたります。
ベータカロテンをはじめ、ビタミンやカルシウムなどを豊富に含むシソ。もともと薬(?)だっただけに、栄養価も抜群です。消化を促進する作用や防腐作用があるともいわれ、お刺身に添えられることが多いのも納得です。

シソのようでシソじゃない、エゴマも初夏が旬!

青ジソによく似た葉っぱの野菜「エゴマ」。
シソの亜種で、食べるとややクセの強い香りとほろ苦さを感じます。韓国料理が好きな方は、サンパプ(野菜でごはんを包んで食べる料理)でおなじみかもしれませんね。最近はスーパーでも見かけるようになったこのエゴマ、日本人の暮らしに欠かせないものだったのをご存じですか?
雨に強く、荒れた土地でもよく育つことから、アジアで栽培が盛んだったエゴマ。
野菜としてだけでなく、種子からとれる油も昔から利用されてきました。食用としてはもちろん、重要だったのは灯火用。まだ電気がない時代、動物や植物からとった油脂は灯りをともすために大切な役割を果たしていたのです。また、エゴマ油は乾性油(空気中で固まりやすい性質を持つ油)のため、雨合羽や雨傘の防水加工にも使われていました。
しかし、江戸時代の後期になると、より生産効率の高いナタネを利用した油が灯火用として普及します。時代が進むとともにエゴマの需要は徐々に減り、東北や北陸、山陰などでわずかに栽培されるだけになっていきました。
今でも各地に、エゴマの種をすって味噌と混ぜたり餅に練り込んだりした料理や、葉を塩漬けにした料理などが残っています。
現在では、青ジソもエゴマの葉も簡単に手に入るようになりました。シソ科の植物の遥かな歴史に思いを馳せながら、爽やかな香りを味わってみてください!
参考:「地域食材大百科」農山漁村文化協会編


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