新緑がまぶしい季節の到来。山里の湖や川に出かけて水辺の景色と一緒にめいっぱい楽しむのもいいですね。
新緑や紅葉の名所として知られる湖は全国各地にありますが、その中には丹沢湖(神奈川県)・奥只見湖(新潟県・福島県)・白川湖(山形県)など、人造湖(ダム湖)が多くあります。
私たちの生活を守り、四季を通じて美しい景観を作ってくれるダムですが、日本での起源はなんと7世紀!
代表的な型式ごとに「日本最古」のダムをご紹介します。

年月の重みを感じる「豊稔池堰堤」。遊水公園として整備されているので、ほぼ真下まで近づくことが可能
年月の重みを感じる「豊稔池堰堤」。遊水公園として整備されているので、ほぼ真下まで近づくことが可能

さまざまな役割を果たす、ダムのなりたち

私たちの暮らしを支えるダム。平地が少ない地形ゆえに勾配が急な日本の河川では、降った雨が海まで流れるスピードが早いため、雨が降った時には洪水・降らない時には渇水という正反対の悩みを抱えています。
また、局地的な豪雨とともに、温暖化の影響による積雪量減で雪解け水が減っている近年、ダムの果たす役割はますます大きくなってきているといえます。
また、水が落下する力で発電する水力発電に向いていることから、発電所を兼ねるダムも多数。ダムは、洪水・渇水の防止、飲み水・農業用水・工業用水の確保、発電などたくさんの役割を担っています。

風格と特色たっぷりの現役ダムを、完成年とともにご紹介!

地形や地質、使用目的に合わせてさまざまな型式を持つダムですが、飛び抜けて古い7世紀のものを除いても、60年から100年の歴史を持つ文化財級のものが多数。日本最古の現役ダムを完成年とともにご紹介します。
「狭山池」(616年・大阪府大阪狭山市)
「古事記」や「日本書紀」にも記述がみられるというダム式のため池。近くには池や改修の歴史を紹介する博物館もある。
「布引五本松ダム」(1900年・兵庫県神戸市)
日本の土木技術の進歩を象徴する重力式コンクリートダム。ヨーロッパの城壁を思わせる重厚な外観で知られる。現在は上水道専用。
「三成ダム」(1953年・島根県奥出雲町)
壮大なスケールのカーブを描くアーチ式コンクリートダム。水力発電と土砂災害防止に使われている。日本最大の黒部ダム(富山県)もこの型式を採用している。
「笹流ダム」(1923年・北海道函館市)
コンクリートの柱が格子状に連なるバットレス式ダム。建設当時は高価だったコンクリートを節約するための設計方式だったそう。
「豊稔池堰堤」(1930年・香川県観音寺)
バットレス式と重力式を組み合わせた日本に2基だけのマルチプルアーチ式ダム。雨の少ない讃岐平野の水がめとして活躍中。
「井川ダム」(1957年・静岡県静岡市)
内部に中空部を設けることで、同規模の重力式コンクリートダムよりもコンクリートの使用量を減らした中空重力式コンクリートダム。中空部分を利用してコンサートなども開かれている。

自分のお気に入りダムを、探してみよう!

なお、2012年に下流の「胆沢ダム」に業務を引き継ぎ、役割を終えたことから水没してしまった日本最古のロックフィル式ダム「石淵ダム」(1953年・岩手県奥州市)のように、もう二度と見られないダムもあるので、現存する個性豊かなダムたちは、ぜひ現役のうちに見ておきたいもの。
国内には約3000ものダムがあり、見学者を積極的に受け入れているところもあります。
さらに、図解や写真満載の紹介サイトやファンサイトも多数あるので(リンク参照)、GWの予定がまだ決まっていない人は、しっかり予習して気に入ったダムの見学に行ってみては、いかがでしょう。
参考「日本ダム協会」「ダム湖百選」HP (関連リンク参照)