桜が散りはじめたら、家庭菜園の季節のはじまりです!! ベランダのプランターにハーブを植えたり、庭の一部を畑にしたり、市民農園を借りて本格的な畑を作ったり。家庭菜園があれば、農薬を使わない野菜を食べることができるほか、野菜の価格が高騰しても自分で育てた野菜でまかなうことができます。また、土に触れたり、育っていくものをながめたりすれば、精神的な安らぎを味わうこともできます。土づくりや草とり、虫の除去など、大変なこともありますが、家庭菜園にはいいことがいっぱいあります!!

採れたての野菜は新鮮!! 育っていくものと触れ合うことでセラピー効果も。
採れたての野菜は新鮮!! 育っていくものと触れ合うことでセラピー効果も。

化学農薬を使わずに育てて、もぎたてをガブリとかじる醍醐味 !!

化学農薬はおおむね、害虫の駆除や病気を治すときに、対症療法として使います。ということは、普段からまめに手入れをしておけば、害虫が発生せず、病気にもかからないので、化学農薬は必要ありません。
農家の広い畑と違って家庭菜園はそんなに広くないので、日々、目が行き届きます。葉の色が変だとか、形がおかしいなど、健康でない部分を見つけたらすぐに除去し、それ以上広がらないようにする習慣をつけておけば、極力、化学農薬を使わずに育てることができます。安心な野菜を食べられることこそ、家庭菜園の魅力です。
ちょうどおいしそうに熟したトマトをもぎとり、サッとほこりを払って、その場でガブリと食べられるのは、家庭菜園ならではの醍醐味ですね。

300円の苗で、ひと夏分の野菜。お弁当のすき間にも大活躍 !!

家庭菜園は家計にとってもありがたいものです。たとえば、キュウリの苗を1つ300円ほどで買ってきても、その苗からはだいたい20本以上のキュウリが採れます。苗を1つうまく育てれば、ひと夏はキュウリを買わなくてもすむ場合もあります。これは、トマトやピーマン、ナスなどについても同じことがいえます。自分で野菜を育てると、お財布にもやさしいのです。
また、食卓のおかずが1品足りないときは、ちょっと庭に行って、キュウリやトマト、大葉やバジルなどを採ってきます。サッと洗って切ってお皿に並べるだけで、立派なおかずが1品増えます。また、お弁当を詰めているとき、「ちょっとすき間が空いてしまったなあ」と思ったら、庭に行ってミニトマトを採ってくれば、すぐにすき間を埋めることができます。家庭菜園は、朝の忙しいときにも、とても重宝します。

育っていくのを「ながめる」のが楽しい。忙しい仕事から離れ、無心で土と触れ合う

『ベランダ菜園セラピー』の著者、宮田範子さんは、「ベランダ菜園には“育てる幸せ、ながめる幸せ、食べる幸せ”の癒し効果がある」と、その著書で言っています。
土の上に立ち、日光を浴び、自然の風に当たり、鳥の声を聴きながら、植物が育っていくのをながめるのは、楽しくもあり、喜びでもあります。
庭がなくてもベランダにプランターを置けば、窓ごしにいつも緑をながめることができます。収穫間近になって、緑の中にミニトマトの赤い色が混じってくると、思わず「にんまり顔」になり、その赤い実がいとおしくさえ思えてきます。そして、食べてみたらそれがおいしければ、なおうれしいものです。
仕事でパソコンとにらめっこする日々、接客でいろいろな人と対話する日々、長距離の運転でほとんど歩かない日々…。植物と向き合っていると、そんな日々を一瞬でも忘れることができます。無心になって、ただひたすら、「おいしくなれ~」と思いながら、土を耕し、種を撒き、支柱を立て、雑草をとり、水をやる。手入れをすればするほど、答えが返ってきます。
最近は、介護予防や認知症の予防に、ガーデニングセラピーやファームセラピーを取り入れている施設もあるそうです。

天候に一喜一憂し、うまくいってもいかなくても楽しい、それが家庭菜園

とはいえ、家庭菜園はそんなに簡単な作業ではありません。
まず、日々のお天気が気になります。梅雨に雨が多すぎると根ぐされしたり、逆に雨が少なすぎても土がカラカラに乾いたりしてしまいます。気温が高すぎても低すぎても、うまくいきません。台風などで強い風が吹くと、支柱が倒れたり、せっかくの実が落ちたりしてしまいます。
そして、一番大変なのは草とりです。雑草が毎日毎日生えてくるので、家庭菜園はとにかく雑草との“戦い”です。30℃を超える真夏の炎天下で草とりをするのは、とてもつらい作業です。また、病気が発生して葉が枯れたり、せっかく育った葉が虫に食われたりすることもあり、すべてがうまくいくとは限りません。
野菜を育てていると、天候や環境によって、うまく育つものもあれば、育たないものもあります。しかし、それらすべてを含めて楽しいと思えるのが、家庭菜園の魅力です。
動物を育てるのは大変ですが、植物は比較的楽なので、あまり気構えなくても家庭菜園を楽しむことができます。そんなにまめに草取りをしなくても、けっこうズボラな育て方で、それなりに収穫できるものです。庭で野菜を作ったことがない人は、今年こそ家庭菜園に挑戦してみてはいかがでしょうか。また、何年も続けているベテランの方は、今年は新しい品種にトライしてみてはいかがでしょう。
天候に一喜一憂する家庭菜園ですが、今年の天候は野菜たちにとってどうなるのか、とても気になるところです。