初夏だというのに高さ10〜20mもの雪の壁が、日本国内に存在することをご存じですか?
それは立山黒部アルペンルート「雪の大谷」です。
室堂ターミナル周辺の道路に積もった雪を除雪してできる約500mもの「雪の壁」は、なんと10階建てビルに相当する圧倒的迫力!
その「雪の大谷」歩いて楽しめる時期が、今年もやってきました! 期間は4月16日~6月22日(予定・無料)です。
心も体も感動に包まれるダイナミックな雪の廊下を、この機会にぜひ堪能してみては。

誰もが思わず歓声を上げる、500mに渡って連なる「雪の大谷」の雪の壁!
誰もが思わず歓声を上げる、500mに渡って連なる「雪の大谷」の雪の壁!

立山黒部アルペンルート「雪の大谷」のキホン

長野県から富山県を横断する立山黒部アルペンルート(立山駅〜扇沢駅の約25 km)は、国内のみならず、世界中から注目される山岳観光スポットです。冬季を除いて春、夏、秋と様々な山の表情が楽しめるため、雪があまり降らない台湾や韓国、タイ、マレーシア、シンガポールなどの国からの観光客に大人気のスポットとなっています。
アルペンルートの中でも圧倒的なスケールを誇るのが、黒部ダムですね。
でも、そのスケールに負けず劣らずの存在感を見せるのが、期間限定の「雪の大谷」なのです。
立山トンネルトロリーバスの室堂・大観峰駅間は “大谷”の名前の通り、吹きだまりとも言われるエリアがら、とくに積雪量が多く、室堂ターミナル周辺の道路に積もった雪を除雪してできる約500mの「雪の壁」のスケールは想像以上! この地を訪れた人々の大歓声や驚嘆に包まれる絶景ポイントでもあるのです。

『黒部の太陽』をはじめ小説・映画・ドラマの舞台にもなった黒部第四ダム
『黒部の太陽』をはじめ小説・映画・ドラマの舞台にもなった黒部第四ダム

雪の大谷作る、2つの怪物マシン

除雪といっても「雪の大谷」の壁は、高さ10〜20mに達するほどの豪雪です。「一体どうやって作っているの?」「雪は崩れたりしないの?」と疑問に思いますよね。
実は、この「雪の大谷」を作るためだけに使用される特別なブルドーザー(ロータリー除雪車)があるんです。その名も「太郎」と「熊翁(くまおう)」。
どちらも、その名から得も言われぬ力強さを感じさせますが、通常の除雪車の2倍近い吹き上げ力を誇るうえ、山麓側の天狗平と山頂側の室堂の両側から、徐々に攻めていくアルペンルート専用の怪物マシンなのです。
この怪物マシンは、冬の間に降り積もった大量の雪にもかかわらず、GPS機能を使って位置を確認しながら道路をピタリと掘り当て、数センチメートルの誤差もなく除雪していきます。
その期間はなんと約1カ月!
怪物の威力をもってしても1カ月かかる理由は、このエリアに降り積もる雪がパウダースノウではなく、大量の湿気を含んだ非常に重い雪だから。
逆に、建物10階相当の氷の塊ともいえる頑丈な壁ができる理由は、湿気を含んだ重い雪だからこそといえます。

雪の大谷の楽しみ方

雪の大谷にたどり着いたら、まずは「雪の回廊ウォーキング」からスタートさせましょう。
二車線の片側は環境に配慮したハイブリッドバスなどの往来がありますが、一車線は歩行者専用となっているので、実際に自分の足で雪の大谷を歩き、そのスケールを体感してみましょう。
中には、垂直に切り立った壁をよじ登ろうとする“強者”もいますが、登壁はまず無理といっていいでしょう。
また期間限定で、かなり難度の高い「雪の迷路」も登場。自分の背丈よりも高い雪の壁に囲まれた迷路なので、ここもぜひチェックしたいところです。
さらに、4月は先に紹介した「熊太郎」も展示されているので、乗り物マニアは、この機会にレアな車体をチェックしてみてはいかがでしょう。

「熊太郎」の運転席扉に描かれたピースする熊のイラスト! わかりますか?
「熊太郎」の運転席扉に描かれたピースする熊のイラスト! わかりますか?

立山黒部アルペンルート、人気の秘密

「雪の大谷」が見られる立山黒部アルペンルートには、幅広い世代の人々が訪れます。標高3000m級の山々にもかかわらず老若男女が集うのは、その独特な移動手段にあるからでしょう。
それは、かなりの急勾配であることや景観に配慮した結果、6つの乗り物を乗り継いでアルペンルートを横断することに所以します。立山ケーブルカー、立山高原バス、立山トンネルトロリーバス、立山ロープウェイ、黒部ケーブルカー、関電トンネルトロリーバス。
これらの特長ある乗り物を楽しむことはもちろん、乗り物ごとに異なるダイナミックな景観もポイントです。
北陸新幹線の開通によって、立山黒部へのアクセスもかなり便利になりました。乗り物を利用することができるので、小さな子どもさんや年配の方でも、心配なくアルペンルートを楽しめるのも大きな魅力といえるので、興味のある人はぜひこの期間に訪れてみてはいかがでしょう。
自由気ままな旅のスタイルでアルペンルートを楽しむのも一興ですが、最も安心なのは、旅行会社のツアーを利用する方法。
いずれにせよ「雪の大谷ウォーク」は期間限定イベントなので、善は急げ!です。