北陸新幹線で行く富山探訪── 春の蜃気楼の不思議に迫る

2015/04/15 19:00

北陸新幹線が開通して以来、富山県のイメージがぐんとアップし、広く知られるようになりました。 立山連峰と富山湾が育む豊かな自然。 名水が生む山の幸と、ここでしか味わえない海の幸の数々…。 その魅力は多岐に渡りますが、今回ご紹介したいのは、富山県で見られるとても珍しい自然現象「蜃気楼」です。 気象条件によって刻々と形を変えるため、同じ蜃気楼は二度と見られません。 それほど幻想的なもので、自然が生み出す芸術品とも言われるほど、美しくも不思議な現象なのです。

魚津市「道の駅 蜃気楼」近くの海岸で撮影されたもの。肉眼でもはっきり分かるほどくっきりと出現
魚津市「道の駅 蜃気楼」近くの海岸で撮影されたもの。肉眼でもはっきり分かるほどくっきりと出現
世界的にも珍しい蜃気楼 海の遙か向こうの景色がいつもより長く伸びて見える。幻の景色が広がっている…。 春になると、富山湾にはこうした不思議な風景が現れることがあります。 これが、蜃気楼です。 蜃気楼が見られるのは本当に貴重なこと。世界的にみても富山湾はとても出現度数が多いと言われています。 それでも、富山湾に蜃気楼が現れるのは、年に10回から15回程度。肉眼で見られるのは、ほんの数回あるかないかというとても珍しい現象なのですね。 春に見られる上位蜃気楼 蜃気楼には、上位蜃気楼と下位蜃気楼の二種類あります。 春に見られるのは上位蜃気楼で、先ほど紹介したのはこの上位蜃気楼になります。文字通り、水平線より上の方向に風景が伸びたり、反転したり、また幻の風景を映し出したりします。 ちなみに下位蜃気楼は、実際の風景の下に向かって幻の像が現れることをいい、島が浮いて見える浮島現象や、逃げ水現象などが、これに当てはまります。 上位蜃気楼が見られるのは、日本では富山県(富山湾)をはじめ、滋賀県(琵琶湖)や北海道(オホーツク海)などごくわずかな場所に限られているのですね。 光の屈折が幻想的な風景を生む ではなぜ、蜃気楼が起きるのでしょうか。 普通、空気の温度はある程度一定なので、光は直進して、私たちの目に届きます。ところが、空気中の温度の高低差が激しいと、光は空気が冷たい(空気の密度が高い)方へと屈折してカーブを描きます。ちょうどレンズのような効果で光が曲がることにより、風景が伸びたり反転したりして見えるのですね。 空気の層によって様々な異なるカーブを描いた姿が、私たちの目には幻想な景色に映るのです。 4、5月が観測のメイン。魚津港周辺が蜃気楼の名所 では、どのようなタイミングで蜃気楼は現れるのでしょうか。 魚津港周辺の海岸は富山湾全体を見渡せるため、蜃気楼の名所を言われています。 ここで観測される統計をみると、毎年大体、3月下旬から6月上旬の11時から16時頃に現れることが多いようです(最も多いのは4、5月。時間は例外もあります)。空気の温度の高低差があることが条件になるため、朝が寒くて日中に温かくなる場合に出現する可能性が高いのですね。 富山湾には立山連峰の雪解け水が流れ込むため、春でも海水がとても冷たく、周辺の空気も冷えています。しかし上空の空気に暖かさがあると、上下の温度差が大きくなるわけです。 魚津漁港に隣接する「みなとオアシス魚津」の蜃気楼展望地には、この時期、双眼鏡やカメラを手にした多くの人たちで賑わっています。施設内には、「海の駅蜃気楼」や「魚津埋没林博物館」があり、観光にもおすすめのスポットです。 特別天然記念物である埋没林が保存・展示されている「魚津埋没林博物館」には、蜃気楼の情報がたくさんあるので、ぜひ訪れてみてはいかがでしょうか。 蜃気楼が肉眼で見られるのは本当にごくわずかなので、双眼鏡は必ず持参するようにしてくださいね。

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