さらに、重箱を一度お供えした後は、親戚一同でその重箱料理をごちそうになるというので驚き! まるでピクニックのような雰囲気ですが、親族の結束を深める意味合いもあるようです。

気になる重箱の中身

気になるのは重箱の中身ですが、好きなものを入れているわけではないんです。清明祭でお供えする重箱は重が2箱、料理が2箱で1セットという決まりがあります。
料理はカステラ、かまぼこ、揚げ豆腐、天ぷら、田芋、昆布、ごぼう、こんにゃく、皮つきの三枚肉が基本。この9種類の料理が、重箱の中にきれいに9等分に並べられます。
また、餅重の餅の数は9個か15個が基本とされています。料理の中身にしろ、餅の数にしろ、いずれも縁起がよいという理由があるのです。お供え物にも、それぞれ意味が込められているのですね。

沖縄の墓は小さいおうち?

それにしても、そんなにお墓の前でたくさん人が集まって大丈夫なの?と思う方もいるでしょう。実は、沖縄の墓は独特の形をしているのです。小さな家のような形をしたお墓が沖縄には数多く見られます。骨壷が大きいこと、一族全員が同じ墓に入る伝統があることなどから大きな墓を作るようになったとか。
本州でよく見かける墓では、親戚一同が集まって重箱を広げられるようなスペースはありませんが、沖縄ならではの大きなお墓だからこそ、この行事が成り立っています。
先祖を祀るといえば夏の「お盆」が一般的ではありますが、「清明」という季節も沖縄の人々にとっては、とても大切な季節です。地方ならではの伝統がこれからも受け継がれるといいですね。
参考資料
(※)『日本の七十二候を楽しむ-旧暦のある暮らしより-』著:白井明大より引用
「沖縄観光情報WEBサイト おきなわ物語」「いーもとぶ.net」(ともにリンク先参照)