暗く長い季節が終わる頃、ヨーロッパの人々が春の訪れの象徴として待ちわびているのが、ホワイトアスパラガス(White asparagus)。
フランスではアスペルジュ(Asperge)、イタリアではアスパーラゴ(Asparago)、ドイツではシュパーゲル(Spargel)と呼ばれ、4月頃から5月末ぐらいまでの間は日本の「桜前線」のように「ホワイトアスパラガス前線」が北上していきます。
春野菜の王様、ホワイトアスパラガスの魅力に迫ってみました。

真っ白で美しい光沢、甘みとほろ苦さが入り混じったサクッとした歯ごたえといったら!
真っ白で美しい光沢、甘みとほろ苦さが入り混じったサクッとした歯ごたえといったら!

グリーンとホワイトの違いは?

ホワイトアスパラガスは日本で主流のグリーンアスパラガスと同じ品種で、違うのは栽培方法です。
グリーンアスパラガスは、たっぷりの日光に当てて育てますが、ホワイトアスパラガスは、少しでも光が当たると穂先に色がついて品質が落ちるので、土で覆い隠して栽培します。真っ白にするには手間がかかるため、流通量が少なくお値段は若干高め。
栄養素はグリーンアスパラガスのほうが多いのですが、なぜ欧州ではホワイトアスパラガスの人気が高いのでしょうか。

新鮮さが美味をもたらす

その理由は、とにかく美味しいから!
日本では瓶詰のイメージが強いホワイトアスパラガス。あの「食感」がイマイチ、という人が多いかもしれませんが、生のホワイトアスパラガスはまるで別物です!
薄いピンク色の穂先からは上品な香りが漂い、真っ白で美しい光沢とサクッとした歯ごたえ。そして、ホワイトアスパラガス独特のあの甘みとほろ苦さといったら……。
この時期の欧州の市場では、なるべくフレッシュなものを食べようと、獲れたてを求める人で賑わい、レストランもホワイトアスパラガスのメニューで埋め尽くされます。

保存方法&オススメのレシピ

保存する場合は横にせず、瓶や半分に切ったペットボトルに1cmほど水を入れ、穂先を立てて冷蔵庫に。上に向かって伸びるため横にすると曲がってしまい、その分栄養が減ってしまうからです。味も落ちるので、早めに食べましょう。
基本の調理は茹でること。硬い根元を切り落として、根元から半分以上は皮を剥き、レモン汁を少し入れた熱湯で根元から茹でていきます。茹で時間は太さにもよりますが3~5分程度を目安に。その際に、剥いた皮や根元も入れると風味よく仕上がり、茹で汁はスープにすると美味。火を止めてそのままお鍋の中で10分ほど冷ませば、出来上がり。
ソースのレシピは国によってさまざま。フランスやベルギーではクリーミーなオランデーズソースが定番ですし、茹で卵をつぶしてオイル・塩・胡椒・ビネガーであえるのはイタリア風、ドイツではシンプルなバターソースが好まれるようです。
ソース作りは面倒という人にオススメなのが、バターやオリーブオイルで焼くだけのレシピ。軽く茹でてから焦がさないようにじっくりソテーしてみてください。塩・胡椒をしただけで、あの独特の風味とさくさくした食感がやみつきになりますよ。

ホワイトアスパラガス・ラブ

欧州にはなんと、アスパラガスを立てたまま茹でる専用の鍋があります。
細くて背が高い形で、穂先が鍋の上に出ていても蒸気で蒸されるのでちょうどよいのだとか。
さらに、アスパラガス専用のピーラーもあるなど、欧州の人々のアスパラガスへの愛情を感じますね。
日本での生産地は主に北海道ですが、近年は佐賀や長崎など九州でも盛んに栽培され、生食用として出回るようになってきました。
ホワイトアスパラガスは見かけた時がチャンス! ぜひトライしてみてくださいね。