テレビドラマ『問題のあるレストラン』のエンディング曲で、キッチン作業しながらキャストたちが踊っていた楽しいダンス・・・といえば思い浮かぶ方もいらっしゃるのでは。プラスチックのコップで音をたてながら歌う「カップス」は、数年前から世界中で大流行! 日本でもネットやテレビで紹介されジワジワと人気が高まっています。一見複雑で難しそうですが、思いの外すぐ楽しめるのだそうです。こんなかっこいい動きが、本当に?!

お箸で叩かなくても鳴るとは・・・
お箸で叩かなくても鳴るとは・・・

映画のワンシーンで大ブレイク!日本人にもなじみやすい遊びなんです

「カップス」(または「カップソング」)とは、プラスチックカップでリズムを刻みながらアカペラで歌う演奏法。
ブームのきっかけは、2012年のアメリカ映画『Pitch Perfect』のワンシーン。オーディションに来たヒロインが、審査員席にあったペン立ての中身をザラッと空けると、舞台に座り込んでカップ(ペン立て)を鳴らしながら歌い始めます。それがたまらなくかっこいい!と真似する人が続出し、ネットには世界中からオリジナル投稿動画が・・・あまりの人気に、演じたアナ・ケンドリックさんのミュージックビデオ『Cups』(リンク先参照)をつくったところ全米で大ヒット。「カップス」のみならず、時代遅れでダサイなどと言われていた「アカペラ」の人気までもが再燃しているのです。
日本でもハマる人(とくに女子高生)が徐々に増えていて、2015年5月にはついに『Pitch Perfect』が劇場公開されることもあり、一気にブレイクするのではといわれています。
演奏( 踊り)は一見複雑そうですが、じつは基本2小節分の動きを繰り返すだけ! 「おちゃらかホイ」や「アルプス一万尺」みたいなものと考えても差し支えありません。リズムも、やや高速ながら「 どんどんひゃららどんひゃらら」的なお囃子調。日本人が楽しく盛り上がる要素いっぱいなのです。
一人でやってもじゅうぶん楽しいのですが、海外の動画を見ると仲良しグループがアウトドアでテーブルを囲んで遊んだり、全校生徒が吹奏楽とともに体育館で遊んだりしているようです。皆でするリズム運動は連帯感も生まれ情操教育にピッタリ。これから日本の学校行事や文化祭・卒業ビデオなどにも登場してくるかもしれませんね。
『Cups』の歌は古いカントリーミュージックが原曲で、フォークソング世代でなくとも郷愁を誘うメロディです。後にこの曲をカバーしたイギリスのバンドが「カップス」を用いたのを、映画のヒロインが真似たという設定のようです。ちなみに歌詞は「私が行ってしまったら、歩く姿や話し方を思い出してきっと寂しくてたまらなくなるわよ、どうするの。明日行っちゃうわよ」みたいな内容・・・小学生にとっては大人の機微を垣間見る体験ですね。
「カップス」はどんな曲でも演奏可能。『問題のあるレストラン』では、きゃりーぱみゅぱみゅさんの曲に合わせて演奏しています。たとえば、幼稚園などでは童謡に合わせて遊ぶこともできます。

使うのはプラスチックのコップだけ。せっかくなのでおぼえちゃいましょう!

「カップス」は、手とコップのたてる音が楽器のはたらきをします。拍手、床やテーブルを叩く、コップの口・底を叩く、つかむ・・タッチによって音が変化しますよね。身の回りで日常鳴っている音を見直す(聞き直す)きっかけにもなりそうです。
どんなカップでもOKなのですが、初めての場合は、紙コップのように軽かったりサイズが小さかったりするとつかみ損ねて飛んでいったりしがち。やはり大きめのプラスチックコップが手になじむと思います。
<「カップス」基本の動き>
コツは、動きを1小節ずつABに分けること。さらにBを2分すると容易におぼえられます。はじめはゆっくりと。慣れてきたら、なるべく手を見ないでできるとかっこいいですね!
●A「どんどんひゃららどんひゃらら」
「どんどん」拍手2回→「ひゃらら」コップの底か床やテーブルを両手のひらでポポポンと3回→「どん」拍手1回→「ひゃらら」コップを持ち上げてまた置く(横にずらして置いてもよい)。
この部分だけでも伴奏になります。繰り返してゆとりが出てきたら、いよいよかっこいい部分を加えていきます。
●B前半「1234」
「1」拍手1回→「2」逆手でコップを持ち上げ→「3」コップの口を手でポン→「4」コップの底でテーブルをコン。
コップを斜めに持つと動かしやすいです。これができたらあと一息!
●B後半「123」
「1」反対の手で持ち替える→「2」空いた手をテーブルに置く→「3」その手をまたいでコップを置く。これで完了!
持ち替えるときコップの底をつかむと、取り落としにくいようです。
ネットには練習動画もたくさんあります。動きに多少の違いがありますがリズムは同じなので、ひとつ習得すれば後から好みで変えられますよ。歌うのが難しいときは、曲を流して(鼻歌まじりで)合わせてもOKです。

ワイワイおぼえるのがまた楽しい! 春の親睦にいかがですか

見ているだけでも楽しい「カップス」ですが、パーティーなどでは皆で繰り返しながらおぼえると、かなり盛り上がります。できるとちょっと誇らしいし「もっと精度を上げたい」「いろんな要素を入れてみたい」という新たな欲望も。拍手を頭上でしてみたり、カップの鳴らし方を変化させたり、細かい振付けを加えたり、コーラスに凝ってみたり。シンプルなだけに工夫次第で思いのまま進化させられるのも人気の秘密かもしれません。脳にも効きそうです。皆で同じ動きを合わせるのもよし、またパートを分けると初心者と上級者、年齢層の違う家族が一緒に演奏することも可能になりますね。
映画公開に先駆けて、新歓や新グループの親睦ツールとして取り入れてみてはいかがでしょう。大人数で遊ぶと(バリ島の) ケチャに似た陶酔感が・・・テンションも上がって、早く仲良くなれることうけあいです。
今年アメリカでは『Pitch Perfect2』が公開されるそうですよ。