東日本大震災から4年。三陸地方に伝わる言葉「てんでんこ」が伝えること 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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東日本大震災から4年。三陸地方に伝わる言葉「てんでんこ」が伝えること

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災害発生時用のこうした表示を、最近多く見かけるようになりました

災害発生時用のこうした表示を、最近多く見かけるようになりました

2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに災害への意識が高まり、多くの家庭で防災グッズが用意され、避難経路、いざという時の連絡方法を確認しあうムーブメントが起きています。
とはいえ、心のどこかで「私の住んでいる所は大丈夫」「自分には関係ない」という心持ちの人がいまだ多いのも事実……。
そこで、2つの実話から「津波てんでんこ」「命てんでんこ」がもたらした貴重な教訓をご紹介します。

三陸地方に伝わる言葉「てんでんこ」

実話━━━
東日本大震災発生直後、街に鳴り響いた津波襲来を知らせるサイレン。港に近い水産加工会社で作業をしていた社員は、強い余震が断続的に続く中、作業場から外に飛び出し、辺りの様子をうかがいます。時同じく、社長室から作業場に駆け込んできた社長は、「津波てんでんこ」「高いところへ逃げろ」「早く逃げろ」と大声で連呼し、従業員を裏山の高台に避難させます。結果、社長の的確な指示によって、全従業員が命を取り留めたといいます━━━。
過去にいくども甚大な津波被害に遭ってきた三陸地方に伝わる言葉「てんでんこ」には、「各自」「めいめい」の意味があります。
「津波てんでんこ」なら、「大地震がきたら、一刻も早くめいめいが高台へ逃げろ」。
「命てんでんこ」なら、「自分の命は、なんとしてでも自分で守れ」。
こうした言葉が受け継がれてきた背景には、過去の地震・津波の際に、家族や知人を助けにいったことで避難が遅れ、多くの死傷者が生まれた事実があるからです。
つまり、大地震が起きたら取るものもとらず、各自てんでんばらばらに高台に逃げることで、結果として全員が助かるというという意味が「津波てんでんこ」「命てんでんこ」には含まれています。
そして、もし自分が高台に逃げたことで、結果として他人を助けられなかったとしても、それを非難してはならないという不文律も、この言葉には含まれています。

児童・生徒562人全員が自らの命を守った「釜石の奇跡」

実話━━━
釜石市北部の大槌湾を望む釜石東中学校にいた生徒たちを襲った、立っていられないほどの激しい横揺れ。校庭にいた生徒たちは教師の指示を待たず、高台に向かって走り出し、教室にいた生徒たちも、教師の「逃げろ!」の言葉を合図に一斉に非常階段を下り始めます……。
校門を抜け、敷地外へ走り出した生徒たちは、隣接した小学校の児童たちと一緒になって、防災訓練で教えられていた裏山の高台を目指しますが、「まだ危ない!」という誰かのひと言で、さらに高い場所へ。
その数分後、高台に集まった児童・生徒たちは、自分たちがさっきまでいた校舎が津波にのみ込まれ、足下近くまで押し寄せた津波を目の当たりにします━━━。
平均して週1時間を防災教育に充て、年3回防災・避難訓練を行ってきた岩手県釜石市。その訓練時に生徒たちに指導していたのは「大きな地震が起きたら、とにかく早く、自分の判断でできるだけ高いところへ逃げる」という「津波てんでんこ」「命てんでんこ」の教えでした。
この教えに従った児童・生徒562人全員は、無事自らの命を守ることになり、その俊敏かつ的確な判断と行動は、これまで多くのメディアでも取り上げられています。
※産経新聞2014年3月10日 生存率99.8%「釜石の奇跡」「津波てんでんこ」の教えの正しさより

「いつ自分の身に起きてもおかしくない話」という心構えをもとう

東日本大震災時に「津波てんでんこ」「命てんでんこ」を実践し、とりとめられた貴重な命がある一方、高齢者や家族の救助に向かったことで亡くなられた消防団員や市民の方も大勢います。その行動は讃えられるべきものであり、亡くなられたことは痛ましい限りですが、その勇気を後世に引き継ぎながら、私たちもいざという時に的確な行動ができるよう「てんでんこ」に込められた“思い”を、災害大国・日本に住む者として共有しあいたいものです。
何より大切なのは、こうした実話や教訓を、テレビ、雑誌、ネットの中のどこか遠い所で起きている話ととらえるのではなく、「自分の身に、いつ起きてもおかしくない話」ととらえる心構えなのかもしれません。


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