すさまじい轟音としぶきを上げて渦巻く『鳴門のうず潮』。世界有数のダイナミックな渦巻きを一度は見てみたいですね。ところで、このうず潮には「見頃」があり、季節や時間帯によっては見られないことをご存知でしょうか。3月〜4月は、1年でもっとも大きな渦が発生するベストシーズン! 大迫力のグルグルを楽しむポイントは?
これが自然現象だなんて・・・
潮の満ち引きと独特の地形が、大きな渦巻きをつくる
『鳴門のうず潮』は、鳴門海峡で発生する速い潮流によっておこる自然現象です。
鳴門海峡は瀬戸内海と太平洋を結ぶ海峡のひとつで、徳島県鳴門市と淡路島の間にあります。幅が1.3キロと狭いうえ、中央部が深いV字型になっている独特の地形で、潮の流れがとても速く時速20キロにも達するそうです。イタリアのメッシーナ海峡・北米のセイモア海峡と並んで『世界三大潮流』に数えられています。
潮流をつくるのは、潮の満ち引き。とくに月の引力は大きく影響しています。引力で引き上げられた海面は、東から西へと移動する月を追いかけながら潮位を上げていきます。潮の干満により水面には最大2メートルもの段差ができ、高い満潮側から低い干潮側へと大量の海水が勢いよく流れ込むことで、速い潮流になるのです。
潮流には、鳴門海峡の北から南へ流れる『南流』と南から北へ流れる『北流』があり、どちらも半日周期で流入と流出を繰り返しています。この現象を「潮汐」といい、6時間ごとに入れ替わりつつ毎日4回の干満差が発生しています。
この中央の速い流れに両岸近くの緩やかな流れが巻き込まれるような形で、その境目に渦ができるのだそうです。本流の両側にそれぞれ「右巻き」「左巻き」のグルグルができるわけですね。けれども実際には、南流時には鳴門側、北流時には淡路島側にのみ多く発生し、見られるのはほとんど「右巻き」のグルグルなのだとか・・・自然ってミステリアスですね!
『潮見表』をチェックして、さあ!観潮船へ
うず潮が大きくなるのは潮流の速くなっている時。自然現象なので、風の強さなどその日の条件によってできる渦は変わってきます。時間帯は干潮満潮の前後1時間半くらいまで。「大潮」が来る新月と満月の日が最適といわれます。鳴門海峡では、春と秋の大潮時には直径20メートルもの渦巻きが出現し、とくに3月下旬〜4月下旬は、1年で最も観潮に適した時季なのだそうです。
せっかく見るなら間近で!という方は、観潮船を利用してみては。
約3分でうず潮スポットに到着する小型の高速艇や、ゆったりと楽しめる大型船など、お好みで選べますよ。今回は、潜水している船室の窓から水中の渦を見ることができるという『アクアエディ』に乗ってみました。この船は全便予約制なので、確実に乗りたい場合はインターネットで早めの予約をお勧めします。ホームページの『潮見表』で見頃の時刻を確認してから予定を立ててくださいね。
うず潮は、一つがずっと渦巻き続けるのではなく、大小かわるがわる発生します。
『アクアエディ』は座席の前に窓があり、水面下1メートルの世界が目の前に・・・青い水の中、渦というよりは白い泡や糸状のこより(?)が、グルグルッと現れます。音の聞こえない窓越しの海に、生まれては数十秒で消えてゆく細いグルグルたちはなんだか愛おしく、とても神秘的でした。
そしていよいよ甲板へ。水中とはうってかわり、途端にすさまじい轟音! 「鳴門」の名は、そのとどろき(鳴る瀬戸)から生まれたといいます。しぶきが顔にかかるほど近く、渦巻きに引き込まれそうなスリルで、乗組員たち(お客さんですね)のテンションは最高潮に!
さまざまな角度から見おろせる、うず潮スポット
鳴門海峡に架かる大鳴門橋の中には、全長450メートルの遊歩道『渦の道』があります。床の一部がガラス張りになっていて、真上からうず潮を見られるのです。体験型ミュージアム『大鳴門橋架橋記念館エディ』とのセット券もあり、アトラクション盛りだくさんの海上散歩を楽しめます。
『エスカヒル鳴門』では、シースルーエスカレーターで屋上展望台へ。大鳴門橋から鳴門海峡の向こうの淡路島まで、壮大なパノラマが広がる絶好の撮影ポイントです。おみやげショップもありますよ。
大鳴門橋のたもとには、入場自由の『千畳敷展望台』があります。遊歩道が整備され、海岸まで行くこともできます。
いろいろなアングルから、うず渦を見比べるのも楽しいですね。
鳴門海峡の潮流にもまれた「鳴門鯛」も食べ頃に!
この春のおでかけ候補に、いかがでしょう。