「ファットバイク」ってご存じですか。雪道用にアメリカで開発された、タイヤが太~い自転車です。数年前から日本各地でレースも行われ、ジワジワとブームになっています。街で見かけたら、そのタイヤの太さにビックリしそうですが、一度乗ったら、そのおもしろさのとりこになってしまうとか。この「ファットバイク」、いったいどんな自転車なのでしょうか。

この太いタイヤで雪の上もスイスイ 参考:ブロンクスサイクル
この太いタイヤで雪の上もスイスイ 参考:ブロンクスサイクル

生まれはアメリカの極寒地。雪の上をスイスイ走るための自転車 !!

ファットバイクは、冬に大雪が降る極寒地、アメリカ北部のミネソタ州で生まれました。一番の特徴は、なんといってもタイヤです。見たことがないくらいの太さです。はじめて見た人は、「これは自転車? それとも50ccのオフロード二輪?」と思うのでは。何しろタイヤの太さは一見すると、50ccの二輪車くらいありそうな感じなのです。

とにかくタイヤが太い !! 太さはマウンテンバイクの2倍

ファットバイクのタイヤ幅はおよそ4インチ(約10cm)。普通のマウンテンバイクの約2倍もあります。つまり、タイヤが太いということは、それだけ接地面が広いので、雪道でも安定して乗ることができます。
タイヤが太いので、空気の容量が4~5倍にもなりますが、普通のロードバイクのようにパンパンに空気を入れず、空気圧を低めに入れるので、フワフワとした乗り心地になります。もしパンクしても空気圧が低いので、すぐには空気が抜けてしまうことがないのも、ファットバイクの特徴です(ただし、街乗りの場合は、空気圧を低くしすぎないほうがいいでしょう)。
タイヤの外径は20~29インチと、サイズはさまざま。タイヤの表面はボコボコと大きめの突起があるので、いかにも雪道をガシッととらえてくれそう。

各地でレースや試乗会を開催、雪上を楽しむライドツアーも

北海道の帯広市から東に位置する幕別町(まくべつちょう)では、1月17・18日、はじめてファットバイクの雪上レースが開催されました。1周200mのコースは実行委員会15人の手作り。タイムトライアルと、2人で競うマッチレースが行われ、手作り感いっぱいの大会は盛り上がりをみせました。ここでは1月にレースがあったことをきっかけに、ファットバイクのレンタルを開始しています。すでにレースで使ったコースがあるので、そこを走ることができます。問い合わせは、ナウマン温泉ホテル「アルコ236」(01558-8-3111)。
新潟県三条市では1月、自転車ショップなどが、ファットバイクで雪上を走る試乗会を開催しました。この試乗会は今年で4回目を迎え、去年は約150名が集まりました。また、釧路市内では釧路湿原や林道をガイドといっしょに走るライドツアーが行われました。
冬以外にも、愛知県豊田市では日本初のファットバイク選手権(第3回目)が昨年春に開催されたほか、東京都内の自転車店では随時、ファットバイクの試乗を実施しているところもあります。

夏は林道で楽しめる、小枝や小石を乗り越えても安定感抜群

本来は雪道用に作られたファットバイクですが、雪のない時期ももちろん楽しむことができます。普通のオフロードバイクのように、林道などもスイスイ。落ち葉を踏んでもスリップせず、泥の中も水たまりも、じゃり道もでこぼこ道も、抜群の安定感で乗ることができます。スピードが求められる自転車ではないので、周りの景色を楽しみながらゆったりとした気分で乗りたい人にオススメです。
ビックリするほど太いタイヤのファットバイク。雪のアウトドアを楽しむアイテムがまたひとつ、加わりました。