日本の伝統や暮らし、四季の情景が息づく古典落語に、冬の名作が多い訳とは…? 〈tenki.jp〉|AERA dot. (アエラドット)

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日本の伝統や暮らし、四季の情景が息づく古典落語に、冬の名作が多い訳とは…?

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芝浜、文七元結、夢金、富久、二番煎じ、時そば、掛け取り…。
落語に名作数あれど、そのなかでもひときわ目立つのが、冬を題材にした作品。
古典落語には、なぜ冬の名作が多いのでしょうか?
その理由をひも解きましょう。
落語の聴き方、入門編もご紹介!

天気や季節の味わいをふんだんに盛り込んだ落語の魅力

“落語”と聞くと、どんなイメージが浮かぶでしょうか。日本の伝統芸能、おじいさんが着物で座って、何だか難しい言葉使いでしゃべっている、といった感じ?
しかし、よくよく聴いてみると、そんなに難しい話をしているのではありません。そもそも、落語は江戸時代以来の大衆娯楽、今で言う映画やコンサートみたいなモノ。いつでも人々と共にあった落語には、春夏秋冬、雨や雷にまつわる噺など、身近な季節、天気を題材にした作品がたくさんあります。
そんな古典落語のなかでも、名作と呼ばれる噺には、冬を舞台にしたものが圧倒的に多いのです!
四季のそれぞれを大切にしてきた日本人ですから、この片寄りは不思議です。
一体どうしてなのでしょうか…?

古典落語に冬の名作が多いワケ

古典落語にはなぜ冬の名作が多いのか、考えてみましょう。キーワードは、“寒さ”と“雪”と“火事”です。
“どうしてあんな奴と結婚したの?―――だって、寒かったンだもん”とは、名人・古今亭志ん生の名フレーズ。
貧乏が当たり前だった江戸っ子たちにとって、寒さは常に身近なものでした。昔に比べ暖房器具が充実した現代であっても、寒さは誰もが共感してしまうもの。
それゆえに、わずかな仕草やセリフだけで人物の気持ちを表現する落語家さんにとって、“寒さ”はお客さんを落語の世界に引き込むための強力な武器であると言えるでしょう。
“雪の朝二の字二の字の下駄の跡”。落語家さんがよく引用する、雪の積もった江戸の朝が目に浮かぶような一句です。
お芝居のように舞台背景を持たない落語では、噺のなかに、また聴いている人の目ぶたの裏に、雪を降らせることで、物語が美しく彩られます。
“雪”には言葉だけで、舞台背景を描く効果があったのですね。
さらに、江戸の冬に欠かせないものといえば、“火事と喧嘩は江戸の華”と謳われた火事。建物の大半が燃えやすい木造建築だった江戸は、しばしば大火に見舞われました。火事を題材にした作品が多いのも頷けます。
江戸っ子は喜んで見物に出かけていきますが、空気が乾燥する季節、皆さんも火の元には十分お気をつけて。
共感を呼ぶ“寒さ”、背景をイメージさせる“雪”、“火事”を見物する江戸文化。その三拍子が揃っているのが、冬だったのです。
他にも、掛け取り、初天神や藪入り、時そばなど、江戸の冬ならではの題材を描いた作品がたくさんあります。

寄席で落語を聞いてみよう!

いかがでしょう。落語に冬の名作が多い理由が、何となく分かっていただけたのではないでしょうか。
興味を持った方は、今やCDやネットでも簡単に聞けますが、ぜひ寄席で、生の落語を聴いてみましょう。
歴史と風情がある新宿末廣亭、広くて聴きやすい上野鈴本演芸場、演者さんとの距離が近い池袋演芸場、二階席が特徴的な浅草演芸ホール。都内に四つある寄席の定席では、365日必ず何らかの興行が行われています。入れ替わり立ち代わり披露される落語や手品、漫才などを贅沢に楽しみましょう。それぞれの寄席のホームページにはその日の出演者一覧が掲載されているので、まずはそれを参考にしつつ、気になる師匠を追いかけてみると良いかも。
ちなみに、ここだけの話、入門編として筆者がおすすめするのは、桃月庵白酒師匠、柳家喜多八師匠、春風亭一之輔師匠です。玄人を唸らせる江戸落語の味わいを残しつつ、それほど落語に詳しくない方も思わず笑ってしまうこと間違いなし。
最近では、“渋谷らくご”と題して、初心者や若い人に向けた落語会も催されているので、そちらもチェックしてみては。


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