今年もバレンタインが近づいてきましたね! 最近は「チョコ受け渡し禁止令」が出ている学校や職場も多いそうです。とはいえ、やっぱり大人世代にとってチョコレートは特別。食べると元気が出るような?・・・それは気のせいばかりじゃないようですよ。

昔のチョコは、なんとピリ辛?!

チョコレートの原料であるカカオの学名は『テオブロマ(神の食べ物)』。カカオ豆は長い間通貨としても使われていたほど、とても貴重だったようです。
じつは、チョコレートを「食べる」ようになったのは意外に最近で19世紀半ばになってからだそうです。それまでは、カカオ豆を粗くすりつぶしてペースト状にし、それを泡立てて「飲む」ものでした。しかも昔のチョコレートは、甘いどころか唐辛子やチリで風味をつけていたというではありませんか。
古代マヤの王族や支配階級の人たちは、体の回復力と気分を高める万能薬としてチョコレートを珍重していたそうです。4000年も前から「体に良い」といわれていたのですね! チョコレートは神聖な贈り物とされ、儀式に使われ神話の絵にも登場しています。
アステカ族にとっては、機敏で強い兵士をつくる魔法の飲み物でした。やがてアステカを征服したスペインを経て、16世紀以降ヨーロッパ各地へ広まっていきます。ここでようやく苦みを中和する砂糖やミルク、バニラなども入れられるようになり、現在の甘いイメージに近づいてきました。
ヨーロッパでは当初医薬品として販売されていたようです。日本に伝わったのは江戸時代後期の長崎。やはり最初は薬扱いだったといわれています。現在のチョコレート市場の盛況ぶりを考えると、短い間に驚きの進化を遂げたことが感じられますね。

チョコを食べると健康で長生きする?

チョコレートの健康効果は、現代においてもさまざまに研究報告されています。
◉カカオ豆に含まれる『カカオ・ポリフェノール』の抗酸化作用は、よく知られている緑茶や赤ワインよりはるかに強力。活性酸素の働きを抑えて、動脈硬化や細胞のガン化・ガン細胞の増殖を防ぎ、アレルギーやリウマチの症状を軽減します。成人病予防にとても効果的なのですね。
◉ココアパウダーには緑茶以上の抗菌作用や歯垢を付きにくくする効果があり、虫歯を防ぐといわれています。またピロリ菌や大腸菌・サルモネラ菌などを殺菌する作用も認められています。
◉『テオプロミン』という成分が神経を落ち着かせ、ストレスを軽減します。
◉チョコレートの脂肪分は血中に残りにくいうえ、『エピカテキン』による代謝効果もあり「チョコを食べる頻度が高い人ほど肥満指数(BMI)が低い」と アメリカの医学誌で発表されるなど、高カロリーでもじつは太りにくいことが知られています。
◉チョコレートには、食物繊維や 鉄分・カルシウム・マグネシウム・亜鉛などミネラルがバランス良く含まれています。便秘解消に効果があり、肌の状態も整います。
これをみると、子供の頃から耳にしてきた「チョコを食べると虫歯になる」「興奮して鼻血が出る」「ニキビができる」「太る」「成人病になる」など数々の黒い噂(チョコだけに)とは真逆なことばかり・・・じつは、現代のチョコレートに加えられた多量の砂糖やクリームが、糖分や脂肪分を摂り過ぎてしまう原因といわれています。カカオ含有率70%以上のビターチョコレートをほどほどに味わうことにより健康効果が期待できるのです。
チョコレートの健康成分が血中に残るのは2時間程度。山登りの行動食のように少しずつこまめに食べるのが良いようです。食事前に少量食べると、食欲を抑える効果が。午後3時前後に食べると脂肪が最も蓄積されにくく、逆に午後10時〜午前2時は最も蓄積されやすいそうです。ダイエット中の人は、残業やお夜食時には避けたほうがよいかもしれません。

チョコは大人のご褒美です!

庶民には長い間贅沢品だったチョコレート。美しく装飾された撹拌棒付きポットやカップなどの貴族コレクションや、映画『マイフェアレディ』の一場面からも、チョコレートは豊かな生活のシンボルだったことがうかがえます。オードリー演じるイライザさんのように、ご褒美チョコでモチベーションを上げながら勉強している受験生もいらっしゃるのでは。チョコレートの甘い香りには集中力や記憶力を高める効果があり、陸上競技においては「よーい、ドン!」の反応が短くなるという実験結果もあるそうですよ。
18世紀、チョコレートは「礼儀正しい成人のためのもの」であり、媚薬としても用いられる大人限定の飲み物でした。現代の大人としては、愛する人が健やかでありますようにと願いをこめてチョコレートを贈りたいですね。今年の「友チョコ」のトレンドは、高級ブランドのシンプルな板チョコなのだそうです。ビターなチョコレートで美と健康をプレゼントするというのも、素敵な大人のバレンタインかもしれませんね!