12月も半ばを過ぎると、一日一日が、ことさら速く感じるようになりますね。
「今年も残りわずか…」そんな、年を惜しむ気持ちに合わせてやって来る歳時記に『冬至(とうじ)』があります。
今年は19年に一度の『朔旦冬至(さくたんとうじ)』です。
「朔旦冬至って何?」…その意味を知って、季節をしっかり味わいましょう…。

そもそも、冬至とは何でしょう?

歳時記によると「冬至…二十四節気の一つで、太陽の黄経が270度に達したとき。新暦の十二月二十二日ごろにあたり、北半球では一年中で昼が最も短い…」とあります。
二十四節気は、二週間ごとに季節の節目を定め、その移ろいを表わしている歳時記です。中でも、夏至と冬至は、昼夜の時間の節目として大きな存在です。それは、古代中国において、冬至を一年のはじまりとしていたことと関係があります。
時計を思い浮かべてください…冬至が12時・夏至が6時、9時に春分、3時に秋分で四分割。その他の節気を5分刻みに置き、時計の反対周りに季節が巡る…そのように作られたのが二十四節気であり、冬至がはじまりの時であることを示します。
別名『一陽来復(いちようらいふく)』は、陰(夜)がきわまり陽(昼)が復する、という意味でお目出度い日とされ、五穀豊穣や無病息災を願う日となりました。

今年の冬至は新月。だから…

では、『朔旦冬至』はどう特別なのでしょうか?
新月は月の満ち欠けの始まりの日(朔旦)にあたります。今年の冬至は新月と一緒。
と言うことは…月と太陽の始まる日が重なり、『朔旦冬至』となります。
太陽と月の運行が重なるこの周期は、19年に一度で訪れ、月と太陽が『調和する貴重な日』として、盛大にお祝いをされていた時代もあります。
この日を大切に過ごすことで、一年の感謝と来たる年への良い準備ができそうですね。

南瓜・小豆・柚子に込められた想い

冬至の定番、南瓜・小豆・柚子が選ばれた訳は、と言うと…
語呂合わせで『ん』のつく食べ物で運気を上げるから『南瓜=なんきん』、赤い色は邪気を払う=小豆粥、旬の香りの力が邪気払いに最適=柚子、が選ばれました。
どの習慣も、悪しきものを払い自らを清め、運を引き寄せるために先人が考えた習慣です。そして、これが季節に必要な温めにも繋がっているのが不思議ですね。
『ん』のつく他の食材は、だいこん・にんじん・れんこん…など根菜が多く、鍋や煮込みの定番です。
また、粥は小豆以外に、ナツメで出汁を取りクコの実をトッピングする中華粥にアレンジするのも体温めに効果抜群です。
19年に一度の貴重な巡り合せの日、月と太陽に思いを馳せ、美味しく暖かくして…無病息災を祈りましょう。