■年代別に見る、受けたい検査項目

●20代/子宮や卵巣の病気にかかわる検査

 性交渉がある場合は子宮頸がん検診を2年に1回受診。HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを接種済み、またはHPV併用検診で陰性なら3~5年に1回でOK。20代は女性ホルモンの分泌量が多く子宮や卵巣にかかわる疾患のリスクが高いため、経腟超音波検査も受けましょう。いずれも痛みはありません。

●30~40代/乳がんやホルモン値の検査

 乳がんのリスクが高まることからマンモグラフィーの受診を。乳房を挟むため人によっては痛みを感じますが、がんの特徴である微細石灰化も発見でき、早期治療につながります。女性ホルモン量が減少し始める年代でもあるため、血液採取によるホルモン値や、X線や超音波による骨密度の検査も始めましょう。

※乳房視触診について
 医師が目と手で乳房に異常がないかチェックする検査ですが、がん死亡率を下げる根拠がないとされ、2016年には厚生労働省が乳がん検診の方法として推奨しないとし、海外でも行われていません。受診することで安心してしまうというデメリットもあるので、画像による検査の受診をおすすめします。

●40~60代/子宮体がんや生活習慣病の検査

 生活習慣病やがんのリスクが高まるため、血液採取による脂質などの検査や腫瘍マーカーを受けましょう。40 代以降に増える子宮体がんの検査もぜひ。子宮内膜の細胞を採取する検査で、多少の痛みや出血を伴う場合もあります。先に経腟超音波検査を受け、内膜の厚みや不整をチェックしましょう。

■年齢に合わせた検診を定期的に受けよう

 女性ホルモンと関係が深い女性の体。女性ホルモンは年齢と共に変化するため、注意すべき病気も年齢によって変わります。月経がある間はホルモンバランスを乱さないように心がけ、婦人科系疾患の予防や早期発見に努めることが大切。更年期以降は生活習慣病やがんなどに注意が必要です。60代以上は運動や脳の機能低下などへの対策も不可欠になります。

 検診はヘルスメンテナンスの一環として、基本は1年に1回、70代は半年に1回、80代以降は3カ月に1回を目安に受けるとよいでしょう。

 検診をどこで受けるかですが、かかりつけ医のいる人は、必要な検査項目が受けられるかを確認しましょう。かかりつけ医が対応していない、またはかかりつけ医がいない人は、上記のような検診を行っている医療機関を口コミやネットで探し、検診を機にかかりつけ医になってもらうとよいでしょう。

監修/対馬ルリ子先生(つしま・るりこ)
対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座· 新宿理事長。産婦人科医·医学博士。弘前大学医学部卒業後、東京大学医学部産婦人科学教室助手、東京都立墨東病院総合周産期センター産婦人科医長などを経て現職。女性のための総合医療を実現するために、情報提供、啓発活動、政策提言などを行っている。日本女性財団代表理事。対馬ルリ子女性ライフクリニック銀座・新宿HP https://w-wellness.com/
日本女性財団HP https://www.japan-women-foundation.org/index.html