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エネルギーも「地産地消」の時代へ 「振り子式」潮流発電の魅力

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振り子式潮流発電(イメージ図)

振り子式潮流発電(イメージ図)

実験の様子

実験の様子

比江島准教授

比江島准教授

 「潮流発電」という言葉を聞いたことがあるだろうか。海で生み出されるエネルギーを利用したもので、潮の満ち引きが源泉となっている。今年、環境省が2018年の実用化に向けて始動するなど、いま日本で注目されている海洋エネルギーのひとつだ。独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)では、潮流エネルギー賦存量は原子力発電所20基分と試算している。

 この潮流発電において、「振り子式」という独自の技術を開発したのは、岡山大学大学院 環境生命科学研究科の比江島慎二准教授。以前より、「瀬戸内海エネルギーハーベスト構想」と題した、海洋エネルギーの開発に取り組んできた。瀬戸内海には、日本三大急潮流と呼ばれる鳴門海峡、来島海峡、関門海峡のほか、明石海峡、尾道水道、大畠瀬戸など、潮の流れの速い場所が数多く存在する。比江島准教授は「世界有数の潮流エネルギーの宝庫」であるこの地で、里山ならぬ「里海エネルギー」を研究してきた人物である。

 比江島准教授の振り子式潮流発電は、簡単にいえば、海に巨大な円柱型の振り子を設置し、水流によってメトロノームのように動かすことで発電するシステムだ。下部に回転軸を通した円柱は空洞になっているので、水流で倒されても元に戻ることができる。このため、潮流に動きがあれば、常に動き続けることができ、回転軸を回すことで発電する。なお、現在は、円柱を半円柱に変更することで、従来よりも大きなエネルギーをつくることに成功している。

 瀬戸内海の潮流は、秒速およそ5メートル。高さ20メートルの振り子をこの条件で動かした場合、2000~8000キロワットの発電が可能だという。この値がどれくらいの世帯の消費電力量を意味するかというと、2000キロワットの場合は2400世帯、8000キロワットの場合は9600世帯。潮流が秒速5メートルを常に維持できるとは限らないので、少なく見積もって半分の電力量になると仮定し、そのうえで1カ月の1世帯あたりの平均消費電力を300キロワット時で計算した数字である。

 比江島氏は、これを「Hydro-VENUS」(ハイドロヴィーナス)と命名した。海から生まれたミロのヴィーナスを思わせる美しい名前だが、Hydrokinetic(水力)Vortex(渦)Energy(エネルギー)Utilization System(活用システム)の頭文字などから名付けられたもので、こちらの「ヴィーナス」はエネルギーを海で生み出す。

 このハイドロヴィーナスの優れている点について、比江島准教授はこう説明する。


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