停留所でバスの接近を知らせるディスプレーの画面(アプリックスIPホールディングス提供)
停留所でバスの接近を知らせるディスプレーの画面(アプリックスIPホールディングス提供)
バスの車内に設置されたBeacon(※赤い丸印で囲んだ部分)(アプリックスIPホールディングス提供)
バスの車内に設置されたBeacon(※赤い丸印で囲んだ部分)(アプリックスIPホールディングス提供)

 通勤や旅行先のバス停で、バスがなかなか来ずにイライラしたことはないだろうか。大人数での旅行や街中を巡るのに便利なバスだが、渋滞などの交通状況によっては、時間通りに来ないこともある。そんなバス待ちのイライラを少しでも解消しようと、年間5000万人を超える観光客が訪れる京都市で、新たな取り組みが始まったという。

 アプリックスIPホールディングス(東京都新宿区)は、京都市交通局の市営バスで、同社の無線装置であるBeacon(ビーコン)を使ったバスの接近を通知するサービスを開始した。米アップル社の近距離無線通信技術「iBeacon(アイビーコン)」を用いたサービスで、交通インフラを支援するサービスでの活用は世界初という。

 このサービスは、同社のBluetooth low energy対応のビーコンと、京都市交通局と京都高度技術研究所が共同開発したアプリを連携させて実施している。ビーコンを全788台のバスに設置し、停留所にバスが近づくと、停留所の専用ディスプレーに「まもなくきます」などと表示されるようにした。専用ディスプレーでは、バスを待っている停留所の5つ前、3つ前のバス停の通過状況も見られる。

 バスの運行状況は専用ディスプレーに表示されるため、利用者は、自身のスマートフォンなどにアプリなどをインストールする必要はない。京都市内の数カ所のバス停からサービスの運用を始め、順次範囲を拡大し、14年度内には60カ所のバス停に専用ディスプレーを設置する予定という。

 同社によると、京都市交通局では、これまで、Wi-Fiを利用したバスの位置情報収集システムという似たようなサービスを運用していたが、バスの正確な位置を、停留所の位置情報板に反映するのが難しいなどの課題があったという。今回、Wi-Fiのシステムに加えて、同社のビーコンを活用することで、バスの位置をより正確にバス停の専用ディスプレーに表示することができるようになったのだそうだ。

 また、最近は、スマートフォンに専用アプリをインストールせずに、専用ディスプレーに情報を表示するタイプのアイビーコンのサービスが広がりをみせているという。同社は今後、他の都市の交通インフラでも、同社のビーコンを活用できないかなどを検討していくという。

 バスの正確な運行状況が分かれば、少々遅れているとしても、落ち着いて待つことができそうだ。他の都市でも同様の取り組みが広がれば、バス待ちでイライラする人を減らすことができるかもしれない。