いまや、だれもがストーカーの標的になりかねない。身を守るためにできることはあるのか。

 警察への相談や裁判の際にもカギになるのが「証拠集め」だ。被害を証明するものがないために警察の介入が遅れ、深刻な事件につながるケースもある。ストーカー対策の著書がある弁護士の大坪和敏さんは話す。

「いつ、どこで、なにがあったのかを自分で記したメモも立派な証拠になります。手書きでもいいのですが、可能ならメールで誰かに送っておけば、作成した日時の証明にもなります」

 ほかにも、ストーカーからのメールは削除しない、電話の着信記録を残す、会話を録音する、つきまとわれたときは無理のない範囲で相手の写真を撮る、送りつけてきた汚物など保管が難しいものは写真を撮っておくなども大事だという。

 ネットでの個人情報流出に敏感になるべきだというのは、日本IBMシニアセキュリティアナリストで『フェイスブックが危ない』の著者、守屋英一さん。

「特にフェイスブックは実名登録に加え、顔写真や勤務先も公開している人が多いため設定に気をつける必要がある。広告やマーケティングに利用しやすくするために初期設定が年々改定され、プライバシー情報が公開されやすくなっている」

 たとえば自分の居場所を伝えるチェックイン機能や、写真やコメントを投稿した場所が地図上に表示される機能は、初期設定のままだと「友達承認」していない第三者でも閲覧できてしまう。初期設定では、“友達以外”の人にも登録情報がほとんど見られるようになっているので、「プライバシー設定」画面で制限することを勧めている。

 ブログやツイッターに自宅周辺の様子を書き込んだり、頻繁に利用する店や勤務先周辺の情報を投稿したりすると、気づかないうちにストーカーに情報提供することになる。駅や行きつけの店での待ち伏せにつながりかねないので、書き込む内容には注意したほうがいい。

「情報が氾濫するネット社会では万全の対策はないが、常に最悪のケースを想定してリスクコントロールすることが大事です」(守屋さん)

AERA 2012年10月29日号