東京大学(c)朝日新聞社
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(c)Norifusa Mita/Cork
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 進学校ではない高校から東京大学に進む子は何が違うのか。作家で教育カウンセラーの鳥居りんこ氏は「偏差値が低い底辺校などから東大に合格した人たちは12歳までの過ごし方に共通点がある。それは親が実践する4つの習慣によってつくられた心穏やかになれる生活時間を過ごしていることです」という――。

■同じく子供を持つ「親」……なぜ、天と地ほどに違うのか

 親の「実力」はこれほどまでに違うのか……。

 今回、2冊の書物に触れる機会があった。書籍『ドラゴン桜「一発逆転」の育て方』(以下、一発逆転本)と、雑誌『プレジデントFamily2021年夏号』(いずれもプレジデント社)だ。

 前者は、人気ドラマ「ドラゴン桜」(TBS系)のリアル版、すなわち、低学力・底辺校・不登校などハンデがあったにもかかわらず東京大学に合格した高校生とその親へのインタビュー集。なぜ奇跡を起こすことができたのか、そこには本人の努力だけでなく、親の献身や関与があった。

 後者の目玉記事は、現役の東京大学の学生249人に実施した小学生時代のアンケート。この記事を読むと、有名な私立中高一貫校の生徒でないケースでも合格できたのは、やはり親の存在があったからだということがよくわかる。

 筆者は、長年、教育カウンセラーとして活動し、中学・高校・大学受験する子供やその親からの相談を受けるとともに、学校の現場に足を運んで取材している。その中で東大生、もしくは東大生の親から話を聞くことも多いが、そこから得た知見と、今回の2冊から感じたポイントは同じだ。

■東大合格者の家庭には世帯年収350万円以下が8%もいる

 それは賢い子が育つ家庭には“共通点”があるということであり、東大生の親の育て方は他とは似て非なるものだということだ。

 東大合格者の半数の家庭が世帯年収950万以上だと言われる。世帯年収350万円以下の家庭はわずか8%。データ上は、高年収家庭が圧倒的有利だが、経済的に豊かとは言えない家庭からも、その壁(18歳世代120万人のうち、東大進学者は約3000人。同世代では0.25%という狭き門)を突破する子供はいる。

「一発逆転本」に登場する10人の学生はまさにそうした人たちだ。家庭は裕福ではない、低偏差値の高校出身、不登校経験あり、成績低迷といった困難を見事に乗り越えた。

 以下、「東大生アンケート」の結果と合わせて「奇跡を起こした東大生の親」の子育て(主に小学生時代)にはどんな秘密が隠されているのか探ってみたい。

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