「アクティブ・ラーニング」で教育が変わる? 乳幼児期からできることとは(後編)
来年から、「アクティブ・ラーニング」という学び方の指導が、幼児教育でも始まります。前編では、文科省の担当者、幼稚園、こども園の先生方にお話を伺い、アクティブ・ラーニングに必要なのは、自分から周りと関わり合って問題を解決する力であり、幼児教育は、その基礎となる資質・能力を身につけるものであることを教わりました。
その後編となる今回は、東京都にある文京区立お茶の水女子大学こども園を取材。乳幼児期でも特に幼い0歳、1歳の子どもたちの中にアクティブ・ラーニングの芽を育てている先生方の取組みを紹介していきます。
●0歳、1歳だからこそ「学びに向かう力」が育つ
文京区立お茶の水女子大学こども園は、「誕生から死までの生涯発達を見据えた、0歳児からの教育・保育カリキュラムの開発と実践を行うことを目的とする」ことを謳い、昨年4月にお茶の水女子大学内に開園しました。文京区の委託を受けて、お茶の水女子大学が運営する保育所型認定こども園です。
園長の宮里暁美先生と0歳児のクラスを担当する粕川菜穂子先生に0歳、1歳の子どもたちにアクティブ・ラーニングの基礎力を育てるための指導について伺いました。
――0歳児に対する姿勢について、先生方が一番大切にされていることはどのようなことでしょうか?
宮里:その子をまるごと受け止めることです。受け止めてもらえることで、子どもたちは安心します。安心して、はじめてハイハイしたり、動き始めることができるんです。
粕川:安心させることはとても大切なことです。入園したばかりの4月は、それほど不安そうに見えない子でも、周囲のものを触ることから始めるんです。どんどん触って、手の届くものを引っ張り出して、あちこちをのぞいてみる。そんなことを1ヶ月ぐらい繰り返してから、ようやく園での生活を楽しむようになります。ここはどこだろう、これはなんだろうと確かめる時間が必要なのだと思います。
――子どもにとってまったく新しい場所に来るわけですから、まずは慣れない場所への不安を取り除くことが大切なんですね。
宮里:0歳児だけじゃなく、子どもはみんな自分の回りを知って安心するんです。また、家の外だけじゃなく、家の中でも同じようなことが言えます。たとえば棚とかにしまってあるものをひっくり返すと、大人は「止めなさい!散らかさないで!」と言いたくなるけれど、それを止めないで充分にさせてあげることで、子どもは自分のいる場所が分かって安心します。
――1歳ぐらいの子は、動けるようになると、家中の棚を開けて何でも取り出すからママもパパも大変ですけどね(笑)。
