忙しいからこそ大事にしたい…子どもの“大切な記憶” の伝え方
子どもが生まれてからは、毎日が「特別な日」の連続。出産当日はもちろん、初めて寝返りした日、ハイハイした日、つかまり立ちした日、歩いた日、お話した日……等々、後から振り返ると大切な思い出ばかり。
しかし、日々目の前の子育てに追われているうちに、そうした“大切な記憶”を何かしらの形で残すことを忘れてしまいがちです。そこで今回は、子どもの大切な記憶の残し方、伝え方についてタイプ別にまとめてみました。
●お話して気持ちを伝える【ストーリーテラー型】
みなさんは、子どもが生まれた日のことを覚えているでしょうか? 空の色、風の匂い、そしてどのような気持ちで、我が子の誕生を心待ちにしていたのか。父親や母親であれば忘れられないであろう特別な日。
出産のリアルを描く人気漫画『コウノドリ』の作者・鈴ノ木ユウ先生は出産準備サイトの対談インタビューでこのように語っています。
「僕、子どもの誕生日に毎年、彼が生まれた日の話をするんですよ。出産当日は雨が降っていて、お母さんは病院に行ったけど1日目には産むことができなくて、結局、丸々2日かかってお前を産んだんだよ、と。いい加減、毎年同じ話をしているから、息子がだんだんうんざりして『また?』って顔はするけど、どこかうれしそうにしているんです。だから、僕にとって“その日”がいかに大切な日だったかっていうことを毎年息子に話しています」
8歳となる長男にとっても、パパである鈴ノ木先生ご本人、そしてママである奥様にとっても大切な生まれた日の記憶。“その日”がいかに大切な日だったかっていうこと伝えるために毎年、誕生日に同じ話をするという鈴ノ木先生。“語る”ことで大切な記憶を紡いでいっているそうですが、仮にその真意が息子に伝わらなくても、「僕と妻がどういう思いで君を迎えたのか、毎年誕生日に言いたい」(鈴ノ木先生)といいます。
うんざりしながらも、どこかうれしそうにしている息子さんの様子が目に浮かびますね。こうして大切な記憶を残していけるなら、とてもステキなことです。
●写真にして思いを形にする【フォトブック型】
一方、同企画での対談相手である写真家・繁延あづささんは、3人の子どもそれぞれに「フォトブック」を作成しているといいます。デジタルカメラやスマートフォンで、誰でも手軽に写真が撮れるようになった昨今、データで残して管理する人も多いと思いますが、繁延さんがあえて「フォトブック」という形あるものにしようと思ったのは、どんな理由があったのでしょうか?
「私はフォトブックの”本”というカタチが気に入っています。我が家では、『あおいのじかん1』『あおいのじかん2』というように”つづき”を展開するように作っています。ですから、フォトブックはその子自身が主人公のものがたり。それを絵本棚に置いておくと、子どもは絵本を持ってくるのと同じように、自分のフォトブックを持ってくるようになりました。私自身も、膝の上で子どもがめくるように合わせて、『落ち葉がいっぱい落ちていたね』など思い出を添えるようになりました。写真って、大事にしまっておくだけではなくて、日常の中に置いて発揮する効果もあると思うのです」(繁延さん)