心のモヤモヤを解消する「バースレビュー」で ママを笑顔に! (後編)
そして、最後のAさんの話には「いいな!」という声があがりました。Aさんの夫は妊娠中の妻を残して実家に帰ってしまったのですが、「家を出ていった夫に『荷物はどうするの?』と尋ねたら、『好きにしていい』と言われたんです。へそくりの場所を知っていたので、そのお金で贅沢なものを食べ歩きました。彼が大事にしていたけど、私が不要と思っていたものは全部捨てました。夫は帰ってきたときにいろんなものがなくなっているのを見て、がく然としていて、ちょっとスッキリしました。当時は寂しくてつらかったけど、今考えると夫がいなかった出産前のあの日々は、ひとりでのんびり過ごした最後の時間でもあったと思います。でも当時のことは、夫も私も本当に反省していて、2人目を授かったら胎教にいいように、仲良くしようねと話しています。一番よかったのは、夫も私も成長できたことだと思います」
「みなさんが今見つけたように、客観的になって思い返すと、つらかった出来事にも必ずポジティブな要素があるものです。それを書き出して何度も何度も読んでいるうちに、しんどかった記憶が少しずつよいものに上書きされ、悪いことばかりではなかったと思えるようになります。私も、ぎょうざを焼いた夫を当時は絶対に許せないと思っていましたが、面白おかしく漫画に描いて何度も読み返すうちに、今では“夫のおかげで面白い作品になってよかった”と感謝できるようになりました」というNAOKOさんの言葉にママたちは笑顔でうなずいていました。
はじめてのバースレビューで、最初は緊張していたママたちは、KUNIEさん、NAOKOさんの気さくで、思いやりあふれる進行と書く・話す・聞くというワークを体験するうちに、すっかり気分がほぐれたよう。2時間のワークショップを終え、みんな笑顔で会場を後にしました。
●「バースレビュー・カフェ」を終えて
後日、参加者の3人のママに「バースレビュー・カフェ」の感想を聞いたところ、こんなお返事をいただきました。
Iさん:「はじめての参加で、最初は緊張しましたが、みなさんすごく話しやすく、時間が経つのがあっと言う間で楽しい時間でした。妊娠、出産のことを思い返す機会は、最近なかなかないので大切な時間だと思いました。今回参加させていただき、ありがとうございました」
Aさん:「バースレビュー・カフェでは、友だちや親に言えなかった妊娠中、産後の夫婦のことについてたくさん話させていただきました。夫婦としての在り方についての深刻な話もしてしまいましたが…(笑)。みなさんに明るく優しく受け入れてもらえたので、心にしまいこんでいたつらい記憶を少しだけポジティブに上書きすることができたような気がします。そして、他の参加者の方のお話を聞いて、大変だったのは私だけではなかったんだ…ということをあらためて知ることができました」
Nさん:「私は妊娠中のつわりと夫婦の不仲から妊娠期間中はいい思い出はなかったし、陣痛に耐えて、かわいいわが子を見るまでは『つらい』という思いしかありませんでした。だから過去は振り返らずに、現在と将来について考えることのほうが大事だと思って過ごしてきました。でもバースレビュー・カフェに参加してみて、マイナスだと思っていたことをプラスに変えられること、乗り越えてきた、がんばった自分の経験を見直すことで、今の自分に自信を持てることを知りました。