漆黒の闇に鮮烈に、時に妖しくゆらめく炎。写真家・刑部信人さんの「花火」シリーズだ。

車のライトや星座など様々な光に魅せられ撮影を続けるうちに、一瞬の爆発が無数の軌跡となる花火に夢中になった。作品は長時間露光で閃光を捉え、流線を描いて完成させる。

鮮やかな光の筋は、夏の夜空に尾を引く流星を思い起こさせる。「カメラのなかに小さな宇宙をとじこめたような感覚でした」(刑部さん)

刑部信人(おさかべ・のぶと)

1984年生まれ。東京工芸大学芸術学部写真学科卒業。「フォト・プレミオ」「写真新世紀」などコンテストで受賞多数

撮影/刑部信人、文/永井貴子(本誌)

週刊朝日 2015年7月24日号