※アネクメネ=人間が居住できない、あるいは非常に困難な地域のこと
人の気配が消えた大熊町。立入禁止となったそのまちを、2011年の夏と冬、歩いた。所々陥没した道路の両脇は、伸び放題となった雑草で覆われ、以前は水をたたえていたであろう水田は草原と化していた。時折、目つきの鋭い野生化した犬や牛の群れを見かけたが、青い空と深い緑のコントラストは、美しいとすら感じた。一方、人が通ることのない交差点で信号機が律儀に動いているという不思議な光景。猛々しく覚醒した自然と、人が住めない現実とのギャップに何ともいえない恐怖を感じた。
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撮影:時津 剛(写真部)
撮影日:2011年9月~2012年4月