ひとり旅する主婦 東苑泰子のコンデジ世界紀行~その2 夏至のラトビアとロシアの最果てカリニングラードをゆく

6月半ばから、バルト三国・西ロシアとその周辺を巡る旅に出ている。お目当ては、ラトビアの伝統的な夏至祭と、1873年から6年毎に開催されている「歌と踊りの祭典」だ。この二つは、バルト三国を代表する文化的行事だという。歳時や祭には、その土地の人々の心が表れる。また、外国人でも参加しやすい雰囲気がある。ロシアのビザが取りやすくなったこともあり、この地域を訪れることにした。

 

せっかくなので、ソ連崩壊後にバルト三国が独立したためロシアの飛び地となってしまったカリニングラードにも行ってみた。バルチック艦隊の母港があったこの町は、歴史的には東プロイセンの中心地ケーニヒスベルクとしてもなじみ深い。第二次世界大戦でドイツが負けた時、ソ連はこの町からドイツ人を追放し、かわりにロシア人を移住させて、連合国軍によって徹底破壊された町をソ連式に造り替えた。人口の大半がロシア人なので、民族を中心に独立したバルト諸国の間にあってもロシア連邦に残った。

 

カリニングラードに個人的に興味を持ったのは数年前、コーカサスを旅行している時だった。ある宿の女将が、女性一人旅の私を心配して知人のR氏を案内に紹介してくれた。そのR氏が、自分は若い頃、カリニングラードでソ連軍に従軍していたと言うのだ。びっくりした。優しく親切そうなこの人は、以前は陰鬱な鉄のカーテンの向こう側の非人間的と思われていた人なのか? カリニングラードとはどういうところなのか? なぜ、その人とごく自然に普通のおしゃべりができるのだろうか? そんな思いが次々と浮かんだ。そしてR氏と会話を続けながら、国や体制や文化の違いという壁をつくっているのは自分たち人間なのだと気がついた。

 

それ以来、カリニングラードを訪れてみたいと思い続けてきた。念願かなってこの町を歩いてみると、ソ連式の建物やモニュメントと近年開発されたショッピング・モール、そしてケーニヒスブルグ時代の文化的価値を認める考えとが混在していた。ロシア語の次にドイツ語が通じる街で、たまたま道を尋ねたことがきっかけで親しくなった娘は、流暢な英語で、いつか欧米に住んでみたいと話す。多分、R氏の青春時代からは想像もつかなかった展開をこの町はとげているのだ。

 

【プロフィール】

ひがしぞの・やすこ/東京都出身。ニューヨーク在住を機に世界の広さに目覚め、世界を見る旅をするために?結婚! 海外勤務もあるサラリーマンの夫に支えられてこれまで訪れた国は100ヵ国以上の、人呼んで「旅主婦」。翻訳家の父譲りの語学センスと健脚・健啖を活かして諸国を歩き、名所旧跡に留まらず、素顔の人々、ありのままの生活に真正面から出会った瞬間、抜群の反射神経で愛機コンデジのシャッターを切り、その街らしい風景やその国の風土をカメラに収める。

 

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