小泉・細川両氏の「元首相コンビ」 (c)朝日新聞社 @@写禁
小泉・細川両氏の「元首相コンビ」 (c)朝日新聞社 @@写禁

 2月の東京都知事選以来、音沙汰のなかった元首相らの「脱原発タッグ」が、再び動き始めた。

 小泉純一郎元首相(72)、細川護煕元首相(76)が、細川氏を代表として一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を設立。5月7日に都内で設立総会を開き、小泉氏が講演で再び、脱原発を訴える。さらに原発立地県などを行脚し、脱原発と再生可能エネルギーの普及を訴えるタウンミーティングを行うという。

 発起人には作家の瀬戸内寂聴氏や哲学者の梅原猛氏、音楽プロデューサーの小林武史氏など、賛同人には吉永小百合氏、市川猿之助氏ら数々の大物文化人が名を連ねる。都知事選で大きなインパクトを残した2人だけに、やはり気になるのは7月の滋賀県知事選や11月に予定される福島県知事選などへの関わり方。脱原発候補を応援したり、独自の候補者を立てる可能性も報じられたが、細川氏の関係者はこう語る。

「細川氏は志を同じくする候補者には推薦状を出したいと周囲に話しているようです。小泉、細川両氏は今も緊密に連絡を取り、今後もコンビで動くことは変わらないので、首長選への参戦もあるかもしれません」

 団体の事務局長を務めるのは、民主党政権で金融相を務めた中塚一宏・元衆院議員だ。都知事選を手伝ったのがきっかけで、行動をともにすることになったという。中塚氏が言う。

「都知事選の投開票前夜、細川氏が選挙事務所に挨拶に来て『勝っても負けても、原発ゼロの闘いはこれから始まります』と宣言した。都知事選の公約で『省エネ社会を目指す有識者会議を設置する』と言っていましたが、それが形を変えて実現したイメージです」

 同団体の都内の事務所にはソフトバンク・孫正義社長が立ち上げたシンクタンク「自然エネルギー財団」のスタッフの姿もあった。企業スポンサーなども、徐々に集まりつつあるという。

「19兆円ほどあれば、出力ベースで国内の原発50基すべてを太陽光に置き換えることができる。稼働率を上げるなら風力・地熱もある。自民党は国土強靭化計画に10年で200兆円かけようとしていますが、それだけお金があれば自然エネルギーへの転換は簡単なこと。単に『脱原発』を言うだけでなく、もっと自然エネルギーの知識を広めて、日本人の意識を変えたい」(前出の中塚氏)

 小泉・細川劇場の第2幕は、どんな展開を見せるのだろうか。

週刊朝日  2014年5月9・16日号