中国ではネット右翼が、

「日本などは防空識別圏を設定し、中国機に対し戦闘機を向け威嚇するのに、我が国は防空識別圏を設定しないのは弱腰だ」

 といった批判を続けており、それに押され、あるいは便乗した空軍が存在感を高めるために決めた可能性がある。防空識別圏は法律でも条約でもなく、軍の規則だから、外交部などと相談しないこともありうる。ソ連の脅威が消えた後、中国軍は「台湾独立阻止」を目標としたが、近年の中台関係の親密化でそれも消えたから、尖閣方面での緊張を煽りたいのかもしれない。

 だが広大な公空を領空同然に扱うことは国際法の常識に反するから、日本だけでなく米国など諸外国が非難するのは当然で、他国はこれを無視し、中国の国防部は恥をかく結果になりそうだ。

AERA  2013年12月9日号より抜粋