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特定秘密保護法案 「治安維持法」復活の危険性も?

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 11月内にも衆議院で可決されそうな「特定秘密保護法案」。国会で論戦が続く中、国の秘密と知る権利の両立を図るため、決められた「ツワネ原則」という国際ガイドラインが注目されている。政府案はこの原則に照らすと、「欠陥だらけ」と専門家らが指摘する。ジャーナリストの横田一氏が取材をした。

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 衆議院の国家安全保障特別委員会で行われた参考人質疑では、「ツワネ原則」と呼ばれる国際的な立法ガイドライン(指針)と、特定秘密保護法案を比較して激論が交わされた。

 この「ツワネ原則」は、秘密保護法制の作成の際にどの国でも問題となる「安全保障のための秘密保護」と「知る権利の確保」という対立する二つの課題の両立を図るためのものだ。国連の担当者など500人以上の専門家が70カ国から集まって協議し、6月に南アフリカの都市・ツワネで採択されたことからその名が付いた。ツワネ原則に詳しい海渡雄一弁護士の解説。

「今回の特定秘密保護法案からは、ツワネ原則がいくつも抜け落ちています。秘密保護に偏りすぎ、国民の知る権利を損なう危険性が極めて高いですね」

 例えば、ツワネ原則(第47)では「ジャーナリストや市民が秘密を入手し、公開しても罰せられるべきではない」と規定されているが、政府の法案は真逆だ。

 特定秘密保護法案では「ジャーナリストや市民が特定秘密を不当な方法で入手しようと共謀(相談)をしたり、教唆(そそのかし)をしたり、煽動(呼びかけ)をしただけでも懲役刑を科す」と規定されているのだ。

「政府が違法な核武装計画をひそかに進めているという動きをつかみ、報道機関が特別取材班を作って、『あらゆる手段を使ってでも核武装計画の極秘情報を入手しよう』と相談しただけでも、共謀とみなされて罰せられる可能性があります。記者が萎縮してしまうのは確実で、その結果、国民の知る権利が損なわれることになります」(海渡弁護士)

 秘密保護法案から欠落しているツワネ原則はまだまだある。

 原則では「全ての秘密に接することができる独立した監視機関を置く」と定めているが、同法案にはどこにも明記されていない。さらに同原則は「秘密の解除を求める手続きを定めなければならない」とする。

 だが、政府案では秘密の有効期限は最大30年で解除され、国立公文書館に移されるが、内閣の承認さえあれば、永遠に封印できるという内容だ。

 しかし政府・自民党は国際標準以下の“欠陥法案”という自覚に乏しい。

「知る権利が国家や国民の安全に優先するという考えは間違い」(町村信孝元外相)
「(ツワネ原則を)読んだことはないので、確認したい」(森雅子担当相)

 対照的なのは野党だ。民主党の海江田万里代表は、「ツワネ原則を一つひとつ読んで、(今回の法案から)抜け落ちていることを確認しました。原則を参考にしながら、特定秘密保護法案を厳しくチェックする」。

「日本維新の会」共同代表の橋下徹大阪市長も14日、こう会見で答えた。「国家権力はいざとなったら人の命さえ奪える。放っておいたら大変なことになる。ツワネ原則があるのであれば、それに則っていったらいいのではないか」。

 秘密保護に偏ったアンバランスな“欠陥法案”が、戦前の軍国主義復活につながるのではないか、という懸念もつきまとう。

週刊朝日 2013年11月29日号


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