衆院選の投開票日まであとわずかだが、「日本維新の会」で比例名簿を巡る泥沼劇があらわになっている。

 公示日の4日午前に宮城1区の榎秀隆・新宿区議(47)が出馬を断念。東北ブロックの比例名簿変更を余儀なくされた。「当選の見込みもなく、家族から反対され、あきらめた。今後も新宿区議を続けます」(榎氏)。

 維新は東北で大苦戦。当選の可能性があるのは、東北ブロックで比例単独1位となっている小慎司前参院議員(44)ぐらいだという。

「小熊さんはみんなの党を飛び出して合流したが、これで後援会がモメていて、小選挙区で勝ち目はない。それで比例1位にしたが、東北では議席が取れるかすら危うい。榎さんも区議のほうがマシとなったんやろう」(維新関係者)

 ほかの新人候補らも、名簿順位に不満を募らせている。というのも、名簿では石原慎太郎代表(80・東京ブロック単独1位)、東国原英夫前宮崎県知事(55・近畿ブロック同)、小沢鋭仁氏(58・南関東ブロック同)、松野頼久氏(52・九州ブロック同)のほか、小選挙区と重複立候補する前国会議員ら11人も軒並み上位で優遇されている。維新塾出身の関西の新人候補者が、こう憤る。

「前職はともかく、許せないのは同じ新人なのに関東で優遇された候補者がいたことです。その2人は、旧『たちあがれ日本』が運営する『かけはし塾』の出身者で、石原代表の威光で上位になったそうです」

 名簿を見ると、南関東ブロック単独2位に松田学氏(55)、東京単独2位に今村洋史氏(50)がいる。今村氏は、維新の“目玉候補”の一人、山田宏前杉並区長(54)より上位だ。

週刊朝日 2012年12月21日号