東京女子医大2歳児死亡 渦中の医師は留学中だった 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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東京女子医大2歳児死亡 渦中の医師は留学中だった

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東京女子医科大学病院。臨床に強い病院だが、重大事故も起きている (c)朝日新聞社 

東京女子医科大学病院。臨床に強い病院だが、重大事故も起きている (c)朝日新聞社 

 元気で活発だった2歳の男児が、東京女子医科大学病院(新宿区)によるずさんな医療の犠牲になってから8カ月以上。両親はいまだ眠れぬ夜を過ごしている。

 今年2月、男児は同病院で手術を受け、集中治療室での人工呼吸中、麻酔薬「プロポフォール」の不正使用により死亡した。この薬は人工呼吸中の鎮静で小児に使用することは禁止されている劇薬で、しかも成人向け使用量の3倍以上が投与されていた。

 両親は5月24日に業務上過失致死などの容疑で被害届を提出。だが、捜査は一向に進まず、真相解明はほど遠い。両親の代理人である貞友義典弁護士は言う。

「プロポフォールが大量使用されたのは、手術翌日の2月19日夜。この日は、医師歴わずか5年の研修医であるA医師が当直を担当し、大量投与したと病院は説明しています。遺族への説明会では、病院はA医師に、当日の経過を両親に説明させると約束しました。しかし、半年以上たった今でも、約束は果たされていません」

 両親が2月19日の夜にこだわるのには理由がある。他の日はベテラン医師や複数の医師で当直をしていたのに、なぜこの日は研修医一人で当直をしていたのか。大量投与を指示したカルテにはA医師のサインはなかった。ひょっとしたら、大量投与を指示したのはA医師ではないのではないか。そのことを本人に確認したいのだという。

 ところが、そのA医師は留学のため、6月から渡米中であることがわかった。警察もA医師に事情聴取ができていない。

 貞友弁護士は言う。

「留学だけではない。病院側は医療スタッフへの事情聴取に、顧問弁護士の同席を求めています。スタッフと弁護士の日程調整にも余計な時間がかかっている。おかしなことばかりで、捜査関係者も困っています」

 病院側の説明によると、A医師の留学は医療事故の半年前から予定されていたことで、事情聴取がある場合は一時帰国するという。弁護士の同席を求めているのは「病院が決めたのではなく、弁護士の方針」(病院幹部)だという。説明と謝罪が遅れていることについては、院内の事故調査委員会と警察による捜査が進行中であることを理由にあげる。そのうえで、「結果が明らかになった時点であらためてご説明を行う」としている。

 だが両親は、説明の約束がいまだに果たされない状況に不信感を募らせる。父親は、怒りに手と声を震わせながら、こう話した。

「今でも『なぜ、息子は死んだのか』とずっと考えています。あいまいな病院の説明資料を読むたび、何度涙を流したことか……」

 両親の思いが通じる日は、まだ訪れそうにない。

週刊朝日 2014年11月14日号


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