高速増殖炉「もんじゅ」 (c)朝日新聞社 @@写禁
高速増殖炉「もんじゅ」 (c)朝日新聞社 @@写禁

 1月20日、自民党の「脱原発派」であるエネルギー政策勉強会の河野太郎衆院議員、秋本真利衆院議員ら5人の国会議員が、高速増殖原型炉「もんじゅ」を視察。本誌記者も同行した。

【1月22日に公開された柏崎刈羽原発の写真はこちら】

 プルトニウムを燃やしてより多くのプルトニウムを生み出す「核燃料サイクル」の実現を目指す「もんじゅ」だが、1995年、ナトリウムの漏えい事故を起こして運転を停止。以後もトラブル続きで運転再開に至らず、2012年には約1万個の機器の点検を怠っていたことが発覚した。

 復活の兆しは見えないが、エネルギー基本計画案では存続の方向が示された。この日、議員団を案内したJAEA(日本原子力研究開発機構)職員も、安全対策をこう強調した。

「東日本大震災後、津波を受けたときに海水をくみ出すポンプ車や、がれき撤去用のブルドーザーを、お国に言われ用意しました」

 構内では多くの作業員が白衣姿で働いていた。19年前にナトリウム漏れを起こした冷却材の配管が、頭のすぐ上を所狭しと通る。廊下には、19年前の事故を説明するパネルが掲示される一方、ゆるキャラ「プルト君」のイラストが随所に描かれ、奇妙なギャップを感じた。

 議員から、現在まで約25年間運転を続けているというロシアの高速増殖原型炉との違いを尋ねられると、もんじゅの幹部は、他人事のように説明した。

「ロシアでも実はナトリウム漏れは頻繁に起きているが、ロシア人は大らかなので運転を続けている。日本はこれまで何をやっていたんだと言われるだろうが、規制や国民のセンシティブさの問題がある。やり方によっては、もっと早くレールに乗せられた」

 まるで日本人の“過剰反応”が問題かのようだ……。また、商業ベースの実用化が可能かと尋ねられた別の幹部の答えは要領を得ない。

「私どもはごみの焼却ができるかという観点から炉をつくっており……ロシアは彼らなりの判断で運転を続けていて……」

 議員たちから「手短に」と突っ込まれると、「十分な見通しを持っております」と、無理やりまとめた。

 視察を終えた河野氏は、呆れた様子でこう語った。

「答えがあやふやだったのを見ても、商業用の高速増殖炉の開発から撤退すべきなのは明白です。燃料のプルトニウムをつくるための使用済み核燃料の再処理も、もうやる意味がない」

 勇気ある撤退も、「文殊の知恵」な気がするが……。

週刊朝日 2014年2月7日号