リーマンショック以降の就職難は、アベノミクスの影響で多少は改善されたとはいえ、依然、楽観を許しません。“有名大学に入学すれば就職できる”という時代は終わり、卒業間近になっても就職先が決まらないなんてことも珍しくないのです。

 教育ジャーナリストであり『大学進学ジャーナル』元編集長の木村誠氏は、大卒の雇用環境の変化を次のように分析しています。

「超・就職氷河期に企業が採用人数を極端に絞った結果、社員の年代構成がいびつになり、社内人事に悪影響が出ました。そこで2006年頃から、企業は採用予定者数を増やし始め、リーマンショック直前の卒業に該当する2008年は、求人倍率が2倍を超えます。しかし、同年9月に起きたリーマンショックはじわじわと日本企業に打撃を与え、2010年には求人倍率が1.5ラインまで落ち、超・就職氷河期の再来と呼ばれました」

 今や、受験生の最大の関心事は、「就職できる」かどうか。就職率を見ることが大学の良しあしを知るのに最適の方法であると主張する木村氏は、自著『就職力で見抜く! 沈む大学 伸びる大学』で、就職率が上昇した大学ベスト100位を発表しました。トップ3を見てみると、1位は国学院大学、2位は東北薬科大学、3位は青山学院大学と続きます。1位の国学院大学は、2003年頃に全国に先駆けて就活アドバイザー制度を導入。現在では、卒業生を中心に社会人をゲスト講師として招くオムニバス形式の授業が人気だといいます。木村氏は、「就職に向けて自ら成長する機会を絶えず提供していることが、国学院大学の就職率躍進の秘密と言えそうだ」と分析します。

 さらに、学部・学科の人気や就職状況は景気や国の政策によっても左右されます。例えば、昔は人気だった歯学部も、今や定員割れの私大が続出し、現在人気の薬学部も、薬剤師の過剰が予測されています。「どんな時でも就職に強い学部・学科」はないと木村氏は断言します。では、現時点で将来有望な学部・学科はどこなのでしょうか。

 グローバル人材の育成に力を入れる企業が増える中で、国際系や外国語学部系はもちろんとして、語学に強いビジネスマン養成をうたう経営系の学部・学科が注目を集めています。さらに、環境保全や食品の安全を重視する風潮により農学部や生活化学(家政)が、健康ブームによりスポーツ・福祉系の学科が注目を集めると、木村氏は分析しています。

 本格的な受験シーズンに突入しましたが、大学名と偏差値だけで受験する大学を決めてしまうと、自分のやりたいことができなかったり、時代に沿わなかったりといった問題が発生し、就職で苦労することになってしまうかもしれません。受験生のみなさんには、有名大学に行けば就職できるという“神話”に左右されずに、自分の将来を見据えた志望校選びをしてほしいものです。