日本モダンガール協會代表淺井カヨさん(38)「この服もそうですが、当時の洋服は着物の生地を使うなど、日本の文化に合わせてアレンジしている」と魅力を語る(撮影/今村拓馬)
日本モダンガール協會代表
淺井カヨさん(38)

「この服もそうですが、当時の洋服は着物の生地を使うなど、日本の文化に合わせてアレンジしている」と魅力を語る(撮影/今村拓馬)

 大正・昭和初期にかけては、西洋文化が日本に定着し始めた華やかな時代。NHK朝の連続ドラマ「ごちそうさん」で描かれていることでもおなじみだ。ファンの多い時代ではあるが、中には魅せられるあまり、生活を丸ごと昭和初期スタイルにした人もいる。

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 そんな昭和モダンな生活をするのが、情報交換を中心とした同好会、日本モダンガール協會の代表を務める淺井カヨさん(38)だ。

 東京都杉並区で事務員をしながら、古い家を選んで住む。今の家は「一番古い建物を紹介してください」と不動産屋に見つけてもらった1928年頃に建ったアパート。キッチンには、鋳物コンロとガス七輪を調理台に置き、氷冷蔵庫を使う。

 テレビや携帯電話は使わない。火鉢や昔の家具を置き、古書店で発掘した本が並ぶ和室に招き入れられると、タイムスリップした気分になる。

 よく「不便ではないか」と聞かれるが、毎日買い物して使い切る生活なので、冷蔵庫の出番はほとんどないと言う。

 料理も昭和初期のレシピに基づいて作り、調味料なども昔ながらの製法のものを選ぶ。

「以前はファストフードも食べましたが、今は新鮮なものを食べ、木造の家で暮らすせいか、すごく健康になりました。昔は鼻炎やぜんそく、アトピー性皮膚炎などがひどかったんです」
 
2004年の春、同じく昭和モダンにはまって古物商店を営んでいる稲本淳一郎さんが主催した花見会に参加、断髪(ボブヘア)にしてモガのファッションで出たら、「似合うねとみんなに言われました」。

 仲間を得て勇気をもらい、とことんその時代に寄り添ってみようと決めた。07年に立ち上げた日本モダンガール協會は、男性も含め沖縄から北海道まで会員数約200人に達した。

 長い不況が続くうちに、使い捨ての商品が溢れ、チェーン店が立ち並ぶ世の中になった。便利だが幸福を感じる人は少ない。今だからこそ原点に立ち返ろう、と昭和初期を再発見する人が増えているのかもしれない。

AERA  2014年2月3日号より抜粋