再開発が進む豊洲。岩倉教授は、現在新木場で接続しているりんかい線(大崎~新木場)とJR京葉線(東京~蘇我)をつなぎ、相互直通運転させるというプランも披露する。池袋や新宿、渋谷などのターミナル駅から乗り換えなしで五輪会場の集中する湾岸部に客を運べ、工事も簡単ですむ(撮影/写真部・外山俊樹)
再開発が進む豊洲。岩倉教授は、現在新木場で接続しているりんかい線(大崎~新木場)とJR京葉線(東京~蘇我)をつなぎ、相互直通運転させるというプランも披露する。池袋や新宿、渋谷などのターミナル駅から乗り換えなしで五輪会場の集中する湾岸部に客を運べ、工事も簡単ですむ(撮影/写真部・外山俊樹)

 日本中が沸き立った、東京五輪決定から2カ月余り。江東区中心部の商店街で食料品店を営む男性(62)は、感慨にふけっていた。念願の「地下鉄」がわが町にやってくるかも──。

 再開発が進み大規模マンションが林立する東京湾岸の豊洲地区。東京メトロ有楽町線の豊洲駅と半蔵門線、都営新宿線の住吉駅(いずれも江東区)間の南北5.2キロを結ぶ地下鉄「東京8号線(有楽町線)延伸」計画。区が熱心に推進するが、実現すれば商店街付近に駅ができる可能性が出てくる。スーパーに客を奪われているこの商店街にとって、地下鉄はにぎわいを取り戻す希望の綱でもあった。

「マンションも増えるでしょうし、地価上昇も期待できます」(前出の食料品店店主)

 五輪期間中の観光客とスタッフの総数は1日最大92万人。前回の東京五輪では首都高速や環状7号線、東海道新幹線などの交通インフラが整備された。今回、道路網は虎ノ門と豊洲を結ぶ現在工事中のマッカーサー道路に加え、圏央道、外環道、中央環状線の高速道「3環状」が一部を除き2015年度までにほぼ完成する予定で、冒頭の江東区を始め鉄道整備の加速にも期待が高まっている。

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