自分らしい、前向きな最期を迎えるため“終(つい)の棲家(すみか)”を探す60~70代の女性が増えている。そんな団塊世代の女性たちに人気なのが、特別養護老人ホームやケアハウスなどの「施設」とは異なり、「住宅」という扱いの、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だ。2012年1月にはわずか8200戸だったのが、今年8月末までに12万2千戸を超えるほどに急増しているサ高住だが、同じサ高住でも金額も環境も違えば、受けられるサービスも異なる。

 ファイナンシャルプランナーで、『老後が危ない! 年金月額16万円の生き残り術』(講談社)などの著書がある畠中雅子さんは、サ高住に住み替えを検討する人に、こう忠告する。

「サ高住は『中間施設』と思って、ある程度、余力を残して資金プランを考えてほしいです。サ高住を終の棲家と考えていると資金プランが甘くなりがち。退去せざるをえないときになって、あたふたしたり、資金がショートしてしまう人もいます」

 現在のところ、最期の看取りまでできるサ高住は多くない。

 介護が必要な状態になった場合、介護保険の在宅サービスを利用することになる。さらに介護度が重くなると、特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームに移る人もいるという。そういう状況も想定に入れ、サ高住への住み替えのプランを立てるのが賢明だ。

 悪徳業者ともいえるようなサ高住にも注意したい。サ高住は最近、急増したため、玉石混交なのが現状だ。入居者側で事前に情報収集をしないと泣きをみる。

 高齢者住宅の開設や入居相談を行っているタムラプランニング&オペレーティング代表取締役・田村明孝さんはこう証言する。

「要介護5の高齢者受け入れながら『医療や介護は、外部の事業所と契約をしてください。そこで起こる問題はうちには関係ありません』というサ高住もあります。そのサ高住に訪問診断に訪れた医師は、要介護5の高齢者が、おむつが汚れたままほっとかれていたため、思わずおむつ交換をし、そのサ高住とは契約をやめたと話していました」

週刊朝日  2013年9月27日号