原発汚染水たれ流し 故・吉田元所長の“遺言”を無視した東電の大罪 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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原発汚染水たれ流し 故・吉田元所長の“遺言”を無視した東電の大罪

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週刊朝日#原発
汚染水の貯蔵タンク (c)朝日新聞社 

汚染水の貯蔵タンク (c)朝日新聞社 

 3.11の事故以降、福島第一原発(以下はフクイチ)に最大の危機が訪れている。貯水タンクから300トンもの高濃度汚染水が漏れ、地下水を通じて海に流出した問題は「レベル3」の事故とされる事態に発展。だが、この未曾有の惨事を、実は7月に亡くなった吉田昌郎元所長(享年58)は生前に警告。病床でも「一歩間違えると取り返しのつかない惨事になる」「レベル3や4の事故が再び起きてもおかしくない」と語っていたという。その「遺言」ともなった予言は不幸にも的中していたにもかかわらず、東電は吉田氏の警鐘を無視し、有効な対策を取らなかった。

 汚染水漏れの可能性は、本誌が2011年秋に連載した「福島第一原発完全ルポ」などでも再三、指摘してきた。野ざらしのホースや急ごしらえのタンクは、どう見ても耐久性に問題があったからだ。フクイチ幹部が語る。

「基本的に2年前と状況は変わっていません。原発では本来、ネジ1本から特別仕様のものを使うが、今回の貯水タンクは緊急事態ということで、品質にばらつきがある既製品で間に合わせた」

 タンクの一部はコストが安価な鋼鉄製のものを使用したが、これがマズかったという。ジャーナリストの横田一氏はこう指摘する。

「汚染水は原子炉の冷却に使用された海水なので塩分を含んでいる。鋼鉄製は錆びやすいので、腐食し、穴が開いた可能性がある。コスト高になってもステンレス製にすべきだった」

 さらに最悪なのは使用したタンクの多くは、部材を溶接ではなく、ボルトでつなぎ、組み立てる構造になっていたことだ。

「ボルト式にしたのは短時間で増設できるという理由でした。でも、ボルト式は緩んだり、止水用パッキンが劣化すると汚染水が漏れるんじゃないかと当初から懸念されていた。途中で溶接された頑丈なものに交換すべきだった」(前出の幹部)

 そしてタンクについては、吉田氏も生前、こう危惧していたという。

「汚染水には、地震、津波の影響でがれきもまじっており、タンクの傷みが予想より激しい。耐用年数はかなり短くなるだろうな」

 今回、漏洩(ろうえい)が起きたタンクの耐用年数は4~5年と言われていたが、わずか2年弱しかもたなかったことになる。なぜ、危ないとわかっていたタンクは交換されず、放置されたのか。

 このフクイチ幹部によれば、汚染水から放射性物質を除去するという新装置「ALPS(アルプス)」が大誤算だったという。

 ALPSは試験中に水漏れを起こし、わずか4カ月で停止してしまった。

「当初、本店は東芝製のALPSを使えば、汚染水の放射性物質を除去して海に放出できるので、『タンクは必要なくなる』と豪語していた。それがALPSの故障でタンク増設を余儀なくされ、交換できる状況ではなくなってしまった」(フクイチ幹部)

 タンク内の汚染水の放射線量が予想よりも高かったことも、障害になった。

「タンクやホースを交換する作業をするとなれば、作業員の被曝(ひばく)線量がかなり高くなり、被曝事故の心配もある。吉田さんも『1年ほどでホースはすべて交換したいが、高い線量でそれができるのか』と心配していました」(同)

週刊朝日 2013年9月6日号


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