それから30年、彼らは店とともに年を重ねた。老親の介護で故郷に帰った人や亡くなった人もいる一方、いまも店に顔を出す人もいる。仲間の噂、芝居や映画の感想、イケメン俳優など、いくつになっても変わらない話題のなかに、自分たちの老後の話も交じるようになった。

NHKで漂流老人の番組を見たときは、店で午前4時まで議論になったね。基本的に僕らゲイは死ぬときは一人だろう。だから、みんなで気にしあう。お金も必要だろうから、頼母子講(たのもしこう)でもやろうかって」(マサキさん)

AERA 2013年7月1日号