どんなにストレスでも、ママ友ネットワークの情報力は絶大。ママ友はストレスにもなるが、大きな味方にもなる(撮影/鈴木愛子)
どんなにストレスでも、ママ友ネットワークの情報力は絶大。ママ友はストレスにもなるが、大きな味方にもなる(撮影/鈴木愛子)

 多くの母親が無関係ではいられない「ママ友」の人間関係。母親たちによると、ママ友の輪の中に入るには努力が必要だといい、そこには暗黙のルールもあるようだ。

 私立幼稚園の送迎用に買ったばかりの電動自転車が使えないと入園式後に知った専業主婦(33)は、ママ友の輪に入るべく奮闘中だ。

「どこにもそんなルールは書いていません。でも自転車置き場を尋ねたら、ママチャリなんて『はしたない』。チャリ送迎はNGよと注意されて。そういえば誰も乗っていませんでした」

 長男が通っていた近所の公立幼稚園とは違う常識やマナーを身につけることで、怖いママたちから身を守る。苦手なヒールで徒歩の登園になりそうだ。

 転勤族の夫と3歳と5歳の娘がいる専業主婦の女性(35)は、そんなに神経をすり減らしながらもママ友との付き合いをやめられない理由をこう説明する。

「学校の先生や塾の評判からスーパーの品揃えまで、ママ友から得られる情報は、母親としても住民としても知っておくべきマストな内容。その地元ネットワークたるや驚異的です。ママ友社会で恩恵を受けるには、まずは自分自身が“ママ友になりたいママ”になる。それで気の合うママ友ができれば、日々の生活は幸福ですから」

 30代向け女性誌「VERY」は4月号で38ページにわたり、ママ世界を“多様で流動的”とし、「オシャレ作法」としてその世界の掟を特集した。「カジュアルOKでもきちんと感」「私らしさは園小物で主張」などといった見た目に関する10のマナーとともに、ストックしておくべきお礼用カードなどの紹介も。初めてママ友界デビューする人たちに至れり尽くせりな内容だ。

 今尾朝子編集長はこうした特集のニーズが高まる背景の一つに、子どもを通じて濃密に付き合うことになる母親たちのタイプが、横並びではなくなってきていることを挙げる。

「幼稚園でも預かり保育などを利用した働くママが増え、また年齢も様々です。いろんなママと付き合うには半端じゃないコミュニケーション能力が求められるはず。そんななか、ママ友作りの優先順位が高いのは当然で、先輩ママからのアドバイスや園でのマナーといった特集の反響は大きいです」

 もはやママ友界には、ビジネスシーン以上のスキルが求められているのかもしれない。

AERA 2013年4月22日号