左から木村玲桜菜ちゃん(6)・璃桜菜ちゃん(5)・透偉くん(3)・直美さん(33)・透愛ちゃん(2)(撮影/今村拓馬)
左から木村玲桜菜ちゃん(6)・璃桜菜ちゃん(5)・透偉くん(3)・直美さん(33)・透愛ちゃん(2)(撮影/今村拓馬)
「ここだけはご自由に!」と開放した冷蔵庫に子どもたちが貼りためたシールは、長女の玲桜菜ちゃんの時から4人の歴史が詰まっている。「愛着がわいて、捨てられへん」と直美さん(撮影/今村拓馬)
「ここだけはご自由に!」と開放した冷蔵庫に子どもたちが貼りためたシールは、長女の玲桜菜ちゃんの時から4人の歴史が詰まっている。「愛着がわいて、捨てられへん」と直美さん(撮影/今村拓馬)

 少子化が加速する現代日本で、子だくさんの人たちはなぜ「産めている」のだろう。核家族化が進み、子育て世代、とくに母親の孤立が育児を困難にし、第2子、第3子を産むことをためらわせている。近くで手助けしてくれる「誰か」の存在は、「産もう」という大きな動機になる。

 大阪府門真市に住む4児の母の木村直美(まさみ)さん(33)の場合、独自の「ママ友ネットワーク」がその役割を果たしてきた。

 それが最大に生きたのが、乳がんの手術をした時。手術は、リンパ節も取る大掛かりなものとなり、10日間入院した。

 会社勤務の夫、晴尚(はるなお)さん(38)は転職したばかりで長い休みが取れない。頼りになったのがママ友の力。「4人いっぺんに預かるよ」と申し出てくれた3人が、それぞれの自宅で一日ずつ交替でみてくれたのだ。

 直美さんは2年前から、NPO法人「ひとり親自立支援会ALIVE」の活動にかかわってきた。「ひとり親」とは、両親は揃っているが孤立している母親たちを支援する意味も込めている。電話での相談は24時間、困ったらいつでも、という姿勢で受けてきた。活動を通じてできたネットワークに、入院時には、「逆に助けられた」という。

 次女が生まれた頃は、夫の事業が傾き、電気、ガス、水道代が払えず、全部止められた。どう食べさせていくか本気で悩んだ。それでもさらに子どもを産んだのは、夫のこんなひと言があったから。

「僕らは親とのつながりが薄く、さみしい思いもしてきた。だから神様が家族を増やしてくれたのかもしれない」

 幸い、その後新たに就いた夫の仕事は順調にいった。

AERA 2013年1月14日号