セレブの街で知られる東京・白金の高級住宅街で建設中の"謎の巨大建造物"が、工事の騒音などを巡って周辺住民らとトラブルになっている。しかも、この物件、誰が住むのか公表されていない。ところが、最近になって、なぜかソフトバンクの孫正義社長の名前が取りざたされている。

 この物件は「(仮称)MTC計画」と題され、施工者は大成建設、建築主は「白金ハウスプロジェクト」となっている。共同住宅のようだが、地上4階、地下2階で、延べ床面積が9800平方メートル超。プールやボウリング場まで造られるというから、"フツーの家"ではない。

 現地に赴くと、高いフェンスで覆われ、中の様子はうかがい知れない。異様な雰囲気ではある。

「計画が持ち上がったのは一昨年秋で、当初は宗教団体の施設だとの話も出ました。住民らが、施主や実際の入居者を大成建設などに何度も問いただしたのですが、大成が開いた住民説明会でも『米国人の家族が住む』などといった要領を得ない説明しかない。なぜ入居者が秘密にされるのか、誰だっておかしいと思うはずです」(地元住民)

 そんな中で最近出てきたのが、孫社長の名前である。実は、建築主の白金ハウス社の元社長であるI氏は、ソフトバンクの税務顧問をいまも務めているため、「孫社長がI氏にダミー会社を作らせた」との話がまことしやかに囁かれているのだ。そして、噂の発信源は2005年の耐震偽装問題で有名になった、あのイーホームズ社の藤田東吾社長だという。

「藤田さんも反対運動をしている一人です。彼は、孫さんが依頼した物件だと確信を持っているようで、『MTC』を『マサヤン(正義のマサ)・トレーニング・センター』の略称だと主張している」(別の住民)

 ならば、と藤田氏ご本人に直接話を伺うと、毅然とした口調で答えてくれた。

「孫氏に近いところなど複数から情報を得て、孫氏が絡んだ物件だと確信を持っています。住居専用地域に無許可で巨大なプールやボウリング場を造るのは、建築基準法違反に当たる。工事の大騒音によって、周辺住民には健康被害も出ており、孫氏は即刻、計画を中止するべきです」

 もっとも、ソフトバンク広報室は「孫本人にも確認いたしましたが、一切、孫や当社とは関係ありません。I氏もまったく無関係とのことです」という。白金ハウス社にも取材を申し込んだが連絡はなく、真相は定かではない。

 それでも藤田氏の怒りは収まらない。

「MTCの問題だけではない。私は東日本大震災の後、被災地に入り、惨状を目の当たりにしました。孫氏は『100億円の寄付』を申し出て、週刊誌に1円も支払っていないとスッパ抜かれるまで実行しなかったが、あれは悲劇を利用して、自社の株価を釣り上げようとした詐欺行為に近い。人間として孫氏の金儲けのやり方は許せない」

 竣工予定は2013年1月だが、果たして......。 (本誌取材班)


週刊朝日