ノラのデビューはセンセーショナルだった。デビュー・アルバム『ノラ・ジョーンズ』は、グラミー賞8部門を獲得し、2012年までの累計で、2300万枚を売り上げているそうだ。わたしもこのアルバムが好きで、CDで聴き、そのうちにSACD(スーパー・オーディオ・CD)で聴き、アナログ盤も販売されたのでアナログ盤でも聴いた。

 当時、わたしが一番驚いたのは、ノラ・ジョーンズがラヴィ・シャンカールの娘だということだった。ご存じの方も多いと思うが、ラヴィ・シャンカールはインド音楽を世界中に広めた人だ。

 わたしも、ビートルズのジョージ・ハリスンのシタールの師匠だということでラヴィのことを知った。インド音楽を聴いたのは、ビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』の《ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー》ではなかろうか。その前にも、ビートルズはインドの楽器シタールを使っていたが、この曲ではインド音楽そのもののように演奏している。わたしはとても興味を持ち、インド音楽をはじめ、世界の民俗音楽を聴くようになった。

 そして、ビートルズ解散後の1971年、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたバングラデシュの飢饉のために開いたチャリティーコンサートは、ラヴィからの要請で開催された。そしてその記録映画の中で、ラヴィはインド音楽を披露している。その映画の中で、インドの演奏者たちがチューニングをし終えると盛大な拍手が起こった。ラヴィは驚いて「チューニングでこんな大きな拍手をもらった。これから演奏する音楽も楽しんでください」というようなことをいったと記憶している。

 そのラヴィ・シャンカールの娘が、ノラ・ジョーンズなのだ。年齢も大きく離れていて、はじめは信じがたいことだったけれど、音楽の才能はやはり受け継がれていくものなんだな、と感心したものだ。

 ところでこの原稿を書くのにアマゾンで調べたところ、ノラのアルバムの多くがCDだけでなくアナログLPででも、販売されているのがわかった。
 昨今、アナログ・レコードの人気が復活しているとは聞いていたが、こんなに多く発売されているのには驚いた。わたしもアナログ・レコードで聴いている。

 ノラ・ジョンーズについての記述が少なくなってしまったが、彼女の情報はネット上にたくさんあると思うので、興味のある方は探してみてほしい。 [次回4/5(水)更新予定]

■公演情報は、こちら
http://norahjones.jp/20161017live/