第85回 少年少女にも役立つ、中高年のための夏フェス入門~その1 |AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

第85回 少年少女にも役立つ、中高年のための夏フェス入門~その1

文・小熊一実

プロフィール   バックナンバー   ミュージック・ストリート トップへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

 5月に、新木場・若洲公演で開催された「メトロック2015」に参加したことで気づいたことがあるので、いくつか書いてみようと思う。
 さきに言ってしまうが、わたしは夏フェスにたくさん行っているわけではない。むしろ、この「メトロック2015」は、久しぶりというか、はじめてといってもいいくらいの体験だったのだ。

 まずはじめに、わたしは夏フェスは若者のためのものだと思っていた。真夏の炎天下、おっちゃんにはキツイのではないかと思っていたのだ。しかし、行ってみたら、気持ちよかったのだ。まだ5月だったから真夏とはいえないが、明るい陽射しの中で地面に座って、ビールなど飲みながら次のライヴを待つのは、なかなかに快楽であった。
 夏フェスの多くは、野外で開催されるものが多いと思うが、こんなに多くの人が地面に座ったり、横になっている姿を見たのは、久しぶりだった。

 わたしは実はアウトドア人間である。毎年少なくとも1回はキャンプに行く。いっしょに行く相手が見つからない場合は、一人キャンプもする。木の葉の間から吹いてくる風や、満点の星空の下で、虫の音や近くを流れる小川のせせらぎの音などを聴きながら、外で食事をしたり、お酒を飲んだりするのが好きなのだ。そして、地面の上で寝るのも好きだ。そんなわたしが、地面に座って音楽を聴くということが、気持ちのよいことだということを体験したのだ。

 わたしにとって、夏フェスの最初のイメージといえば、アメリカ合衆国のニューヨーク州で1969年8月に3日間開催された「ウッドストック」である。
 このときの記録は録音され、また、映像としても残っているので、観ることができる。わたしも、映画とレコードでこのフェスのことを知った。

 このときの記録映画が『ウッドストック/愛と平和と音楽の三日間』で、若きマーティン・スコセッシが編集で参加している。このあとスコセッシは、ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』(78)、ボブ・ディラン『ノー・ディレクション・ホーム』(05)、ザ・ローリング・ストーンズ『シャイン・ア・ライト』(08)、ジョージ・ハリスン『リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド』(11)と、『タクシードライバー』などの傑作映画を撮影するのと平行して、素晴らしい音楽ドキュメンタリー映画も残している。
 
 さて、「ウッドストック」であるが、地元の若者たちが企画してはじまったイベントなのだが、当初入場者数を20万人と予定していたところ、結果的には、40万人以上が集まってしまったのだ。
 当然のことながら、食料もトイレも交通手段や宿泊所なども不足しているうえに、雨が降ることも多く、多くの混乱が見られたことが、この記録映画に残されている。しかし、そこにいる若者たちはみな楽しそうで、雨が降ったら《ノー・レイン、ノー・レイン》と合唱し、雨が上がれば、泥の上を滑り台のように滑って遊んだり、最後には、湖の中に男も女も全裸で入って、こどものように水遊びをし始めるといったかんじだ。

 もちろん、このフェスにこんなに多くの人が集まったのは、大物アーティストが多く参加したことが要因であろう。ジミ・ヘンドリックス、クロスビー、スティルス&ナッシュ、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、ザ・フーなど、多くの大物アーティストが参加した。また、サンタナなど、このフェスティバルに参加したことによって、一気に有名になった新人バンドも多かった。

 フェスの歴史をたどると、1967年6月にカリフォルニア州で開催されたモントレー・ポップ・フェスティバルがはじまりであろうか。ジミ・ヘンは、このフェスで有名になったといってもよいだろう。他に、ジャニス・ジョプリンやオーティス・レディング、サイモンとガーファンクルなどが出演している。『モンタレー・ポップ フェスティバル'67』や『ジミ・ヘン&オーティス ライブ・アット・モンタレー』などの記録映画が残されている。画像が稚拙だとの評価もあるようだが、この時代のアーティストの動く姿を見ることができるのは、やはり貴重でうれしい。ちなみに、監督のドン・アラン・ペネベイカーは、ボブ・ディランの『ドント・ルック・バック』(67)、ジョン・レノンがエリック・クラプトンといっしょに演奏している『スウィート・トロント』(71)、デヴィッド・ボウイの『ジギー・スターダスト』(73)などを撮影している。

 その後、ミュージック・フェスティバルは盛んに開催されるようになり、日本でも多くのフェスティバルが開催されるようになって、今に続いている。

 中高年が夏フェスに行くためのノウハウについて書こうと思っていたのだが、フェスの始まりの話になってしまった。続きは、次回。[次回7/22(水)更新予定]

■情報として、主なチケット販売会社のフェス特集を紹介しておこう。
●チケットぴあ フェス2015
http://t.pia.jp/feature/music/musicfes/
●e+(イープラス) 日本全国フェス一覧とフェスを100倍楽しむ方法。
http://eplus.jp/sys/web/s/festival/index.html
●ローソンチケット 野外フェス・音楽フェス情報 2015
http://l-tike.com/fes/


(更新 2015.6.24 )


バックナンバー   コラム一覧   ミュージック・ストリート トップへ

このエントリーをはてなブックマークに追加

プロフィール

小熊一実(こぐま・かずみ)

 1956年生まれ。プロデューサー。このサイトの前身「JAZZ STREET」に引き続き、「Music Street」の企画編集を担当。ジャズ、ロックはもちろん、クラシック、歌謡曲からアヴァンギャルドまで、聴きまくっている音楽狂。音楽以外にも、落語会やロボット・イベント、映画も製作している。ここでは、ジャンルを超えて、趣味に走ったライヴ情報をお届けしたい。補足情報をfacebookに掲載します、見て下さい。https://www.facebook.com/kazumi.koguma

あわせて読みたい あわせて読みたい