第45回 あるがままに LET IT BE~レット・イット・ビー~ |AERA dot. (アエラドット)

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第45回 あるがままに LET IT BE~レット・イット・ビー~

文・小熊一実

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『THE U.S.BOX(初回生産限定盤)(豪華BOX仕様)』ザ・ビートルズ
※最新盤ということで。日本盤は紙ジャケ仕様

『THE U.S.BOX(初回生産限定盤)(豪華BOX仕様)』ザ・ビートルズ ※最新盤ということで。日本盤は紙ジャケ仕様

「ビートルズトリビュートライヴの決定版!約40曲で綴る感動のステージが日本上陸!!」というキャッチフレーズを見て、思い出したことがある。

 その方は、「ビートルズの曲を演奏するライヴをやったらいいですよ」とわたしに言った。「かならず、お客様が入りますから」
 その方は、ホテルやレストランなどを運営する会社の社長だった。
 しかし残念ながら、まだわたしはそれを実現できていない。いくつか計画を立てたのだが、これではだめだ、と実施する前に自分で納得がいかないのだ。わたしのプロデューサーとしての未熟さゆえだ。

 でもいつかは実現したい企画でもある。ビートルズの曲を演奏するライヴを実施するのは、特別難しいわけではない。ただそこに自分なりのこだわりをどう反映させるか。そしてそこに、どんなミュージシャンを組み合わせるのか。そんなことを考えるのはとても愉しいのだが、実現するための一歩がなかなか踏み出せない。

 30年くらい前であろうか、六本木にキャバンクラブという店ができた。そこは、ビートルズの曲だけを演奏する店だという。
 その情報を聞いて、仲間たちと話し合った。初期の曲はよいけれど、中期の曲も演奏するのか? ライヴでやっていない曲を演奏するのは不自然じゃないか? ≪ノルウェーの森≫のシタールは、誰かが演奏するのか? シンセサイザーという手もあるな。いや、一番の問題は、声だな。ビートルズのよさは、曲のよさもあるが、ジョンとポールのハーモニーがあるからこその魅力であり、他の人が歌ってもああはならないからな。
 などと想像を膨らませていたら、開店してまもなく、友人がそのキャバーンで演奏しているから聴きに来いと、連絡が入った。

 その後30年間の間に何度かこの店には行っているので、記憶が混乱しているかもしれないが、最初のときはビートルズが初期に着ていた襟のないスーツ姿だったように思う。曲も初期が中心であったが、中期のサイケデリックな曲や、後半の曲も演奏していたと記憶する。十分楽しんだのだが、若さゆえか、ベースは左利きじゃないとビートルズとはいえないとか、初期の衣装でサイケな曲を演奏するのは違和感があるな、などと生意気なことをいったものだ。

 その後、今から10年くらい前であろうか、テレビ番組の企画で、六本木キャバンクラブの林ゆたかさんとお会いした。
 林さんは≪亜麻色の髪の乙女≫のヒットで知られるグループサウンズ「ヴィレッジ・シンガーズ」のドラマーだった方だ。

「六本木のキャバーンの最初のバンドに友人がいて、聴きに行きましたよ」と話すと、「あれと『ケントス』(オールディーズライブハウス)で、息を吹き返した感じだったんだよ」と話してくれた。人間にはチャンスが来るときがあるから、それまでがんばれ、と励まされた記憶がある。
 わたしが会社を作って、苦戦していたころだ。残念ながらそのときの企画は流れてしまったのだが、その後、島谷ひとみの歌で≪亜麻色の髪の乙女≫がヒットしたり、「ヴィレッジ・シンガーズ」が再結成したりという話題を聞くたびに、林さんのことを思い出したものだ。

 残念ながら六本木キャバンクラブは、2010年に一時休業となったようだ。『ケントス』グループは、全国で営業中、オールディーズ好きなら、一度は行くべきだろう。

 さて、話がそれてしまったが、当時のわたしはビートルズはビートルズの演奏が最高で、それのコピーやカバーで彼らを超えることはできないと言っていた。とはいっても、ビートルズの曲を演奏しているレコードを探しては買うのが趣味でもあった。

 しかし、今のわたしの考え方はだいぶ変わってきた。
 オリジナルを超えるとか言うのではなく、リスペクトを含めた上で、ビートルズの曲や影響について楽しんだり考えたりすることは、とても愉しいのだ。

 今回のこの公演は、2012年9月にロンドンで幕を開け現在もロングランを続けていて、13年7月24日からブロードウェーでも上演されているという。
「内容はビートルズを題材にしたライヴショーで、衣裳やパフォーマンスなどを時代を追って忠実に再現したステージは圧巻。また、それぞれの時代の映像も交えた構成になっており、劇場の中でタイムスリップでもしている気分を味わわせてくれる」
とのことだ。

 今や叶うことのないビートルズのライヴの夢をみに、わたしも出かけてみたい。[次回2月5日(水)更新予定]

■公演情報は、こちら
http://www.let-it-be-japan.com/index.html

参考:『ケントス』(オールディーズライブハウス)
http://www.becgroup.co.jp/kentos/


(更新 2014.1.29 )


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プロフィール

小熊一実(こぐま・かずみ)

 1956年生まれ。プロデューサー。このサイトの前身「JAZZ STREET」に引き続き、「Music Street」の企画編集を担当。ジャズ、ロックはもちろん、クラシック、歌謡曲からアヴァンギャルドまで、聴きまくっている音楽狂。音楽以外にも、落語会やロボット・イベント、映画も製作している。ここでは、ジャンルを超えて、趣味に走ったライヴ情報をお届けしたい。補足情報をfacebookに掲載します、見て下さい。https://www.facebook.com/kazumi.koguma

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