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第41回 今年1年を振り返る

文・小熊一実

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 今年最後の更新になるので、1年をかんたんに振り返ってみようと思う。

 この『Music Street』(ミュージック・ストリート)が、3月から始まり、10か月間、書かせていただき、ありがとうございました。
 振り返ってみると、今年は、わたしの音楽環境が大きく変わった年だと気づいた。

 購入したCDは、箱モノが多かった。キング・クリムゾンの『The Road To Red』は、
21CD+dvd-audio+2blu-Rayというボリュームだし、CSNYのスティーブン・スティルスのベスト盤『Carry on Box Set』は4枚組、グラハム・ナッシュのベスト盤『Reflections』は3枚組、デビッド・クロスビーは『Voyage』3枚組。先週紹介したボブ・ディランの『Another Self Portrait』も4枚組だ。みな、当時の人気アルバム曲に未発表曲を盛りだくさんに加えて販売されている。わたしは、こういうものを、喜んで聴いているのだ。

 しかし、箱モノは、こういった未発表曲を含む形のものだけではない。たとえば、『Original Album Classics』のように、過去のアーティストをまとめて、廉価に販売したものが増えて、これを機会に、ローラ・ニーロの美味しい時期のアルバムをまとめて5枚手に入れた。それも、新品で千円台、2千円しないのだ。シカゴの10枚組、二ルソンの5枚組、ジョニ・ミッチェルのスタジオ・レコーディング10枚組、みな、1枚200円前後、もっと安いものもある。ほかにも、まだ、たくさん購入した。それどころか、クラシックでは、バッハの全作品が入った『バッハ大全集』アーノンクールやレオンハルトが指揮したり演奏している作品が、CD153枚+DVD1枚で、2万円ちょっと。1枚あたり100円台で買えてしまう。まさかこんな時代が来るとは思わなかった。1枚2千円以上も出して買っていたあの頃の自分に、教えてあげたい。
 そして、CDの枚数が増えてくると、多すぎて、整理するのが大変になってくる。加えて、CDをCDプレーヤーで再生するより、パソコンに入れてデジタルからアナログに変換して再生したほうがより気持ちのよい音になるので、パソコンで音源を管理し、再生することが多くなった。アルバム名や曲名も出るので、検索するにも便利なのだ。検索のスピードを上げたいので、パソコンを新しくした。
 よりよい音で聴きたいので、そのデジタル・アナログ変換の機械・デジタル・コンバーターをバージョンアップして、CDは、パソコンを通して再生することが基本になった。
 事務所には、映像とサラウンドで再生できる装置一式を装備している。
 そこで、再生するメディアが、パソコンに加え、DVDからブルーレイ・ディスク中心に変わった。ブルーレイを再生することになるとテレビとブルーレイ録画機をつなぐためにHDMIケーブルを使用する。そうしないとブルーレイの持っている画像の美しさが発揮できないのだ。テレビとブルーレイ録画再生機などを使用している方は、ほとんどがこのHDMIを利用していると思う。じつは、この規格になってから、AVアンプとプレーヤーの接続もとても簡単になったのだ。
 当然のことだが、ブルーレイが中心になるとDVDの時代より、音も映像もレベルがあがった。ところが、こういう生活に慣れてくると不満が出てくる。たとえば、ニール・ヤングの『アーカイブス1』(ブルーレイ)をもっていたのだが、ブルーレイの192khz 24bitというスペックが、わたしのAVアンプでは再生できないのだ。つまり、せっかく高音質なデータが含まれているにもかかわらず、それより低いスペックで再生して聴くしかなかったのだ。AVアンプを購入したときよりブルーレイなどのスペックが上がっていたのだ。購入してから数年しかたっていないと思うのだが。
 そこで、AVアンプを買い換えることにした。しかし、デジタルの技術がこの勢いで進んでいくとまた数年で買い換えることになりそうだ。AVアンプの場合、進化するのは入力のスペック対応がほとんどであり、パワーアンプの部分は、特に変化が必要なわけではない。だから、わたしは、AVアンプも、プリアンプとパワーアンプに分かれている機種を選んでいた。ところが、今年買い換えようとすると、自分の望むランクでこのセパート型のAVアンプがないことがわかった。そこで、現在販売されているディスクのスペックを再生することができ、アナログ出力ができる一番安いAVアンプを探し、パワーアンプは、これまでのものを継続して使用することにした。新しく購入したAVアンプは、接続も簡単になり、さほど、高級なアンプでなくても、パワーアンプにしっかりしたものを使用していたので、いっきょにサウンド環境はアップした。
 
 よりよい音で聴きたいという欲望の強いわたしは、10年以上前からハイレゾ音源といわれるSACDやdvd-audioで音楽を聴いていたが、これらの音源をサラウンドで聴くことは、設定や準備などが容易ではなかった。プレーヤーとAVアンプを、5チャンネルすべてをアナログでつながなければならなかった。しかし、新しいAVアンプでは、HDMIで接続すると1本のケーブルで接続できるのだ。ただし、HDMI出力のあるハイレゾ音源が再生できるプレーヤーが必要になった。今年、これも購入した。

 環境が整うと、やはりハイレゾ音源は、聴いていて気持ちがよい。先ほどのキング・クリムゾンのアルバムに入っているブルーレイでは、CDとは一味違うサラウンド・サウンドが楽しめる。それも、ただよい音ではなく、四方から音がふりかかってくるのだ。クィーンの《ボヘミアン・ラプソディー》やピンク・フロイドの『狂気』や『炎』も、サラウンドで聴くとより楽しい。
 ビートルズもハイレゾ音源が発売された。以前、このコラムで紹介したが、金属のリンゴの形をした置物のへたの部分をひっぱると、それが、USBメモリーになっていて、ビートルズのアルバム全曲がハイレゾ音源で入っている。ジャケットなどの画像データもテレビで見ることができる。もちろん、音はCDより素晴らしい。リンゴのへたをひっぱって、AVアンプのUSB入力に差し込むと、ハイレゾ音源のビートルズが飛び出した。

 そんなある日、友人が引越しをするので、スピーカーを買わないかと言ってきた。わたしの事務所のスピーカーは、アコースティックラボの初代ボレロで、もう10年以上たっている。小さいけれど、なかなかよい音がして気に入っている。エラブルブルーという色で、買った当初は、美しい湖水のような色をしていた。
 友人が提案してきたスピーカーは、モニターオーディオのPlatinumPL300というスピーカーで、傷ひとつないピアノ・ブラックだ。発売年には、さまざまなオーディオ誌で金賞を受賞した名品だ。わたしは、即座に購入を決めた。美しい名機が、わが事務所に届いた。ボレロもよい音がしたが、L300は、より迫力が増した。ボレロは、サラウンド用スピーカーとして生き残った。
 当然のことだが、数ヶ月が過ぎるころには、まだこのスピーカーを鳴らしきっていないような気がしてきた。
 オークションで調べてみると、マッキントッシュの6チャンネルのパワーアンプMC206を発見した。競り合ったすえに、獲得した。数日前のことだ。
 今、この文章を書いている隣に、マッキントッシュのブルーのメーターが三つ並んで光り輝いている。 

 さて、わが音楽関連生活の一部を紹介させていただいた。ライヴに行った話しでなくて恐縮だが、こんな風に愉しく音楽とつきあっているわけだ。
 音楽の入り口から出口まで、一通り変わってしまった今年、来年への期待が高まるというものだ。
 さて、みなさんの一年は、いかがでしたでしょうか?

 執筆者一同、来年も、がんばって、愉しい話題を提供していく所存です。
 来年も、よろしくお願いします。では、よいお年を。[次回1/8(水)更新予定]

 追伸 来年のはじまりは、「ボブ・ディランがやってくる その2」をお楽しみに! 


(更新 2013.12.30 )


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プロフィール

小熊一実(こぐま・かずみ)

 1956年生まれ。プロデューサー。このサイトの前身「JAZZ STREET」に引き続き、「Music Street」の企画編集を担当。ジャズ、ロックはもちろん、クラシック、歌謡曲からアヴァンギャルドまで、聴きまくっている音楽狂。音楽以外にも、落語会やロボット・イベント、映画も製作している。ここでは、ジャンルを超えて、趣味に走ったライヴ情報をお届けしたい。補足情報をfacebookに掲載します、見て下さい。https://www.facebook.com/kazumi.koguma

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